「こんなので良いのか…」 浦和で2カ月ぶり2発! リオ五輪OA選出の興梠が抱えていた逡巡とは

「行くと決めたからには」とエース覚醒

「あの1点目で少し吹っ切れた部分もありますね。オーバーエイジは即戦力というイメージがあるので、それに見合ったプレーをしなければいけないと思っていた。調子が悪いなかで呼ばれて『こんなので良いのか』という思いもありましたし、そんなんじゃやっていけないとも考えていた。常にモヤモヤしたままま臨んでいましたが、行くと決断して決めたからには、という思いもありました。(五輪期間は)出られない試合も生まれるので、チームにも迷惑をかけるわけですし、犠牲にするわけですから。チームメートに感謝したいです」

 チームも鹿島アントラーズ戦から3連敗するなど結果の出ない時期が続いていた。そうしたなかで、手倉森誠監督からは熱心に五輪メンバー招集を誘われた。一度断ってもなお、前線での起点として指揮官に必要とされた興梠は心が動いた。五輪参戦を決断後は、心の霧が晴れるようだった。

 22日のFC東京戦では、2アシストの活躍で3-2の逆転勝利を収め、この神戸戦は自身の2ゴールで2連勝に導いた。神戸戦でもリオ五輪代表の手倉森誠監督が期待していると語った前線でのポストワークを高いレベルで披露して攻撃の起点となるなど、改めて復調を印象づけた。1968年メキシコ五輪以来のメダル獲得を目指す手倉森ジャパンに加わる万能型FWは、OAでの招集にふさわしい実力を示してファーストステージ最終戦を締めくくった。

【了】

轡田哲朗●文 text by Tetsuro Kutsuwada

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

 

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