「“王様”のような振る舞い」では勝てない オマーン戦出場14人を金田喜稔が採点

“丁寧さの弊害”が出たサイド攻撃、迫力あるクロスを供給したい

■鎌田大地(フランクフルト/→後半25分OUT)=★★

 大迫と同様、序盤から相手の徹底的なマークに苦しめられたのは確かだが、同時に鎌田の“テンションの低さ”が気になった。相手が執拗にマークしてくるなら、極端な動き出しを見せて相手を揺さぶったり、長い距離を動いてどこまでついてくるのかを試してみたり、そういう駆け引きは鎌田ならできるはず。これはオマーン戦の日本代表全体に言えることだが、多くの選手がボールを足下に要求するプレーに終始していた。自ら動き出してパスコースを生み、出てこなかったら動き直して違うところで要求するという動きが少なく、「ボールが来たらやるよ」というプレー。これでは相手は崩れないし、勝てるわけがない。少し言葉は悪いが、オマーン戦での鎌田は特に前半、“王様”のように振る舞っていた。後半途中、相手から激しいタックルを受けてスイッチが入ったのか、ようやく強気のプレーが見られるようになったが、トップ下を託される選手であるのなら、その姿勢をスタートから見せてほしかった。

■伊東純也(ヘンク/→後半18分OUT)=★★★

 前半28分に吉田からのロングボールに抜け出した場面は、相手の背後を取ったなかで上手くコントロールしてシュートに持っていったが決めきれなかった。相手の守備がボールサイドに寄ることでフリーになるシーンは多かったが、右サイドを周囲と連係しながら機能的に崩すシーンは限られていた。また伊東に限らず、日本のサイドの選手はクロスを丁寧に上げすぎていた。中の状況を確認してから蹴る丁寧さは尊重するが、相手にも準備する時間を与えてしまい、迫力という部分が欠けていたのは事実。チームとしてどこのポイントに中の選手が飛び込むという共通理解を深めたうえで、時にはもっと早いタイミングで鋭いボールを入れて相手を揺さぶりたいところだ。

■遠藤 航(シュツットガルト)=★★★

 球際の守備では強さを見せ、何度もボールを奪っていた。一方、攻撃時には大迫や鎌田が相手の徹底的なマークに遭ったことで、思うように縦パスを入れられず。オマーンを揺さぶるような効果的なプレーを発揮できなかった。

■柴崎 岳(レガネス)=★★★

 前半は柴崎らしいパス回しやゲームコントロールで、チームにリズムを与えることができていた。だが次第に存在感を発揮できなくなると、失点シーンではクロスを上げた相手に対する守備が甘かった。あの距離での守備は現代サッカーではありえない。左足を上げながら左に50センチ、前に1メートル詰めるくらいの守備をしなくてはやられてしまう認識は持つべきだろう。

金田喜稔

かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。

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