久保の能力を称賛も「サッカーの色気が足りない」 名波氏が認める「天才4人」との違い

日本代表で活躍をしてきたMF中村憲剛、MF小野伸二、MF遠藤保仁、MF中村俊輔【写真:Getty Images】
日本代表で活躍をしてきたMF中村憲剛、MF小野伸二、MF遠藤保仁、MF中村俊輔【写真:Getty Images】

歴代の“天才4人”のように「チームメートが久保頼みになっていない」

 18歳にして、そんな影響力をチームにもたらしていた久保。スペインに戻り、リーガ・エスパニョーラの舞台で戦うようになった現在のプレーに関して、名波氏は「この年齢で、スペインリーグでプレーしていること自体が凄い」としたうえで、「サッカーの色気がまだ足りない」と独特な表現で課題を指摘した。

「僕は今、日本における『歴代の天才』は4人しかいないと思っています。中村俊輔(現・横浜FC)、中村憲剛、小野伸二(現・北海道コンサドーレ札幌)、遠藤保仁(現・ジュビロ磐田)。ここに久保が入らないのはなぜか、それはやはり自分がチームを勝たせたという結果がついてきてないからです。単発での試合で勝利に貢献しても、年間を通してタイトルを獲れたのか、あるいは日本代表の勝利にどれくらい還元できたのかというと、Aマッチに11試合出場してまだ得点もアシストもない。先ほど挙げた4人は、ピッチに立てばどんどんボールが回ってくる。一方で久保は、チームメートが完全に“久保頼み”にはなっていないから、選手としての色気がまだ出ていないと感じるんです」

 久保がゴールやアシストという結果を手にするために大切なことの一つとして、名波氏はシュートへの意識を挙げた。

「自分が点を取りたいという願望が強ければ、例えば(リオネル・)メッシなら1試合に6本とか7本も打つ。もちろん多く打てば良いわけではないけれど、アタッカーのポジションでプレーするのなら、もう少しゴールへの形を描きながらドリブルをしたり、ボックスの近くで顔を出してほしい。今の久保に求めたいのは、そこだけ。ここからの数年で色気が出てきたら、一気に天才の領域に入ってくる選手であるのは間違いないです」

 名門レアル・マドリードの保有選手であり、海外メディアの視線も集めながらスペイン1部で継続的に戦っている久保。名波氏も技術力とサッカーIQの高さを認めているからこそ、真の天才へと覚醒する瞬間を心待ちにしていた。

[プロフィール]
名波浩/1972年11月28日生まれ、静岡県出身。順天堂大学を卒業後の95年にジュビロ磐田に加入し、左利きの司令塔として黄金期を迎えたチームの中心として活躍した。Jリーグ通算331試合34得点、Jリーグベストイレブンに4度選出。1999-2000シーズンにはセリエAのヴェネツィアでプレーした。日本代表としても国際Aマッチ67試合9得点の成績を残し、1998年フランスW杯には背番号10をつけて出場。2000年アジアカップではMVPを受賞し、日本の優勝に大きく貢献している。08年に現役引退。14年から19年まで磐田監督を務めた。

(FOOTBALL ZONE編集部・谷沢直也 / Naoya Tanizawa)



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