独特の“技術論”でブラジル人選手も上達 風間氏ほどJFA技術委員長の適任者はいない

名古屋グランパスが風間八宏監督との契約を解除【写真:Getty Images】
名古屋グランパスが風間八宏監督との契約を解除【写真:Getty Images】

成績不振により名古屋と契約解除 “フリー”になった今こそ…

 名古屋グランパスが風間八宏監督との契約を解除した。

 J1リーグ第26節を終えて11位だが、9位ヴィッセル神戸と10位清水エスパルスが勝ち点32で、名古屋以下は15位の浦和レッズまでの5チームが勝ち点31と大混戦。誉められた成績とは言えないが、まだ切実に降格が迫ってくる事態でもなかっただけに、それなりに重い決断だったはずだ。

 実際、川崎フロンターレ時代(2012~16年)はもっと難しい状況に追い込まれたこともあったが、解任せずに踏み止まったことで時間をかけて優勝争いをするまでに成長した。さすがにプロでは、筑波大学就任時のような即効性を導き出すことはできなかった。

 だが風間監督は、どこへ行っても独特の技術論を発信し、それなりに成熟したトップレベルの選手たちを上達させてきた。もちろん、サッカーの技術も多岐にわたるので、すべてが上達したとは言いきれないかもしれないが、象徴的なのがブラジル人助っ人レナト(現・天津天海)の成長で、スタッフからも「来日してから上手くなるような助っ人は要らないよな」と冗談も飛び交ったという。結局あまりに顕著な活躍を見せたために、2015年に中国の広州富力に買われてしまった。あるいは、すでにベテランの域に入っていた大久保嘉人(現・ジュビロ磐田)も、風間指揮下で磨きがかかり日本代表に復帰している。

 確かに「勝たせるのは上手くない」との風評も出てしまっていたが、反面「風間監督に指導を受ければ上手くなる」という揺るぎない評価が確立されたから、概ね選手たちは積極的に門戸を叩いた。プレーする側にとっては、勝たせてくれることも重要だが、上達を担保してくれる指導者は、さらに貴重だった。また名古屋も、クラブの方向性を定め、勝ち負けに留まらない付加価値を見出したから、長期政権を睨んでのオファーを出したはずである。

 だが選手に適性ポジションや個性があるように、おそらく指導者にもオールラウンダーはいない。流麗で圧倒的なポゼッションを見せながら、さらに勝利を重ねていくには、当然目指すスタイルに即した戦力も要る。

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近東京五輪からプラチナ世代まで約半世紀の歴史群像劇49編を収めた『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』(カンゼン)を上梓。『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(ともにカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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