森保監督の“日本代表アプローチ”を英記者が懸念 「タレントの無駄遣いと言われても…」

“現実主義”を受け入れさせるための道のりは、決して平坦なものにはならない

 ボール保持とパスワーク、動きと創造性は長きにわたって日本の成功の象徴となってきたが、森保監督は彼の好むカウンターアタックのために、積み上げてきた方法論の採用を避けているようにも見える。

 それは多くのファンが望むものではなく、日本の誇るタレントの無駄遣いと言われてもおかしくない。“現実主義”を受け入れさせるためには、勝ち続ける以外に道はない。

 しかし、日本はタレント豊富なコロンビアを相手に耐え切ることができなかった。たとえゴールがレフェリーからのプレゼントのようなものだったとしても、だ。ボールが冨安健洋(シント=トロイデン)の手に当たった時、彼にボールを避けるすべはほぼなかったと言っていい。コロンビア自体は得点に値しなかったが、ファルカオのシュートは力強いものだった。

 巻き返しのために香川真司(ベジクタシュ)が投入されたことにより、日本の攻撃はいくらか加速した。しかし試合終盤の修正となったこともあって、同点弾を生み出すための十分な猶予はなかった。

 森保監督のアプローチには今後、賛否両論が続くだろう。アジアカップでのパフォーマンスは彼が戦術的な柔軟性を求めていることを証明しており、それが将来的な安定につながることは間違いないが、決して平坦ではない道が待っていることも、また確かだ。

page1 page2 page3

マイケル・チャーチ

アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング