復活の悪童が本田のライバルに名乗り 「バロテッリが主人公だ!」

トップ下としても躍動

 ACミランのイタリア代表FWマリオ・バロテッリが、復帰初戦で衝撃のパフォーマンスを見せた。3日に行われたイタリア3部相当のマントヴァFCとの練習試合で1得点1アシストに加え、PK奪取の活躍で大番狂わせの危機から名門を救い、3-2の勝利に貢献した。
 リバプールから1年ぶりに期限付き移籍で復帰した問題児は4-3-1-2システムの2トップに入り、アレッシオ・チェルチとコンビを組んだ。この日のトップ下には、MFジャコモ・ボナベントゥーラが入った。
  見せ場は前半3分にやってきた。ペナルティーエリア外の左でフリーでボールを受けたバロテッリは右足を振り抜 いた。強烈なシュートは沈み込むように軌道を変えるワールドクラスの一発。見事な先制点を突き刺した。
 ミランは守備面で不安を露呈し、立て続けに2失点を喫した。ベンチのシニシャ・ミハイロビッチ監督と、スタンドのアドリアーノ・ガッリアーニCEO。さらに黄金時代に率いた名将アリゴ・サッキ氏は、格下にリードを奪われるよもやの展開に顔面蒼白(そうはく)となっていた。
 だが、名門の恥辱の危機を救ったのは、リバプールでお払い箱扱いとなった悪童ストライカーだった。37分にセットプレーからヘディングで巧みにコースを変えると、ゴール前でフリーになっていたアンドレア・ポーリが同点弾。地元テレビ局「プレミアム・スポーツ」の実況は「バロテッリが主人公だ!」と絶 叫するほどだった。
 後半からバロテッリはトップ下にシフトし、ブラジル代表FWルイス・アドリアーノが2トップの一角に入った。するとミランは攻撃の勢いを増す。バロテッリはアドリアーノの決勝PKに直結する相手エリア内のファウルを勝ち取った。衛星放送「スカイ・イタリア」は「後半ルイス・アドリアーノが出場し、スーパー・マリオがトレクワルティスタ(トップ下)に入ると、ロッソネリ(赤黒でミランの愛称)はより危険になった」と絶賛している。
 髪形、私生活などさまざまな制約を受け入れ、ミランに帰還した悪童はストライカーとしてもチャンスメーカーとしても活躍。格下相手とはいえ、リバプールでは戦力外となり、トップチームで練習参加すら許されなかった男はレン タル料ゼロでミランに復帰した。キャリアの危機に陥る中、絶大なポテンシャルを示した。そして、3-2の勝利の立役者となった。日本代表FW本田圭佑がW杯アジア予選で不在の間に、ポジション争いの最強のライバルが一気に台頭してきた。

【了】

サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

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