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ミラン復権の135億円補強のラストピース 凱旋のイブラかレジスタか
サポーターの8割は中盤の補強を要望
「1億ユーロ(約135億円)を投資する」
この一大キャンペーンの下に火ぶたを切って落とした今夏の移籍市場におけるACミランの移籍戦略だが、これまで4人の大補強が敢行された。
セビージャからコロンビア代表FWカルロス・バッカに3000万ユーロ(約40億円)、ブラジル代表FWルイス・アドリアーノの獲得に800万ユーロ(約11億円)、ローマから獲得したイタリア代表MFアンドレア・ベルトラッチと同DFアレッシオ・ロマニョーリにそれぞれ2000万ユーロ(約27億円)と2500万ユーロ(約34億円)と、合計で8300万ユーロ(約112億円)を費やしてきた。
イタリアの移籍情報サイト「カルチョメルカート・コム」では、残りの1700万ユーロ(約23億円)の使い道についてアンケートを実施した。その内容は、パリ・サンジェルマンのスウェーデン代表FWズラタン・イブラヒモビッチに使うか、中盤の底からボールを配給するレジスタの獲得に費やすべきかという2択だ。
このアンケート対象は、そのままシルビオ・ベルルスコーニ会長が望む選手と、シニシャ・ミハイロビッチ監督が望む補強対象が投影されたものだとしている。
現在のミランに存在しないワールドクラスのスーパースターであるイブラヒモビッチの帰還を悲願としている会長に対し、ミハイロビッチ監督が強化の必要性を考えているポジションは中盤にある。チームの現状を鑑みた場合、補強のラストピースがどのポジションになるのかについて、どちらがより現実を見ているのかという人気投票にもなった。
合計で5000票近くの投票が行われている中で、イブラ帰還への投票は22パーセント、レジスタ獲得が78パーセントの支持を集めた。やはり、日本代表FW本田圭佑を含む前線の選手たちが飽和状態にあると指摘されている現状で、それがかつてミランにスクデットをもたらしたイブラヒモビッチであっても必要性はないという意見が大半を占めている。
その一方で、2000年代中盤に黄金期を迎えたミランと同じ4-3-1-2システムで戦うことが明らかにされている中で、当時の中盤で絶対的な存在感を放ったアンドレア・ピルロ、クラレンス・セードルフ、ジェンナーロ・ガットゥーゾのトリオが見せたクオリティーに対し、現メンバーは及んでいないという意見がミラニスタの中には多いという。ミハイロビッチ監督も、中盤にもう1人補強をしたい意向を持っているという。
現状、候補に挙がっているのはゼニト・サンプトペテルブルグのベルギー代表MFアクセル・ヴィツェルだが、獲得には最低でも3000万ユーロ(約40億円)が必要な状況。現実的には難しい状況にあるという。ミハイロビッチ監督が望む中盤の補強は袋小路に迷い込んでしまったと表現されている。
果たして、今後もベルルスコーニ会長とアドリアーノ・ガッリアーニCEOはイブラヒモビッチ凱旋に向けて動き続けるのか。それとも、現場とサポーターの要望通りに中盤の補強策に新たなアイデアを見出して方針を転換するのか。
「今季、欧州チャンピオンズリーグへの出場権を奪還する」と、名物会長が宣言してスタートしたシーズンだけに、凋落からの復権を目指す名門の移籍戦略における最後の一手が注目される。
【了】
サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images