シチリアの火山、即断即決のパレルモの名物会長 13年で30人の監督交代劇

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 今季セリエAは、8月末に幕を開ける。カルチョの国には、個性豊かな名物監督や、会長が存在する。そして、チームの敗戦が続くと、必ず話題になるのが「監督交代」というワードだ。特に、会長の権限が強いイタリアにあっては、強化責任者もさることながら会長の一声で決断が下されることは少なくない。中でも、電光石火での決断を下すことで有名なのがパレルモのマウリツィオ・ザンパリーニ会長だ。
 2002年夏に当時ローマの会長だったフランコ・センシ――彼もまた審判団にロレックスの高級腕時計をクリスマスプレゼントとして贈ったとして有名だが――か ら、パレルモの所有権を譲渡されると、「スクデットを取るまで投資を惜しまない」という方針の下で補強を開始。セリエC1とセリエBを行き来していたチームをセリエAへと引き上げた。
 そこまで聞けば、敏腕会長がシチリア島に舞い降りたということになる。しかし、会長に就任してから現在まで、つまり13年間でパレルモを率いた監督の数がのべ30人(うち1度は2人の共同監督)だと聞けば、その強烈なキャラクターが浮き彫りになるだろう。実に、1シーズン平均で2人を超えるのである。例として矢継ぎ早に監督が交代していくイメージの強いサウジアラビア代表を挙げても、同期間で13人。その目まぐるしさは、世界一と言っていい。今ままでに、監督解任によって支払った違約金の総額は1000万ユーロ( 約13億5000万円)と言われている。
 それもそのはずで、3人の監督が率いたシーズン、つまり1シーズンに2度の監督交代が起こったシーズンが4回ある

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