7年目を迎えた「HER TEAM」が描く女子サッカーの未来 JFAとアディダスが目指す「プレーを続けられる環境づくり」

3月に開催された「HER TEAM CUP 2026」
3月に開催された「HER TEAM CUP 2026」

女子中学生年代の環境改善を目指す「HER TEAM」

 JFA(日本サッカー協会)がアディダス ジャパン株式会社と実施している共同プロジェクト「HER TEAM」が、今年で7年目を迎えた。

「HER TEAM」は、女子サッカー界における長年の課題である「13歳以上のプレー環境不足」を解消するために立ち上げられたプロジェクトだ。男子と比較して女子中学生年代のチーム数が圧倒的に少ない現状の中、実に「5人に1人」の女子選手が中学生になるタイミングでサッカーを断念してしまうというデータがある。

【注目】ワールドカップ優勝は「想いだけではできない」 日本サッカー協会が“仲間”を募集…「JFA PARTNERSHIP PROJECT for DREAM」はこちら

   ◇   ◇   ◇   

 この課題に対し、本プロジェクトでは新規で女子中学生チームを立ち上げる指導者や団体を公募し、ユニフォームの無償提供、メンバー募集のための告知ツールの配布、サッカークリニックの開催、事務局によるチーム支援、オンラインミーティングなど、継続的な伴走支援などを提供してきた。2020年のプロジェクトスタート以来、その輪は全国に広がり、昨年度までに37都道府県で102の新たな女子チームが誕生。サッカーを続けたい少女たちの「受け皿」を全国規模で生み出し続けている。

「HER TEAM CUP」で笑顔を見せる宮間あや氏
「HER TEAM CUP」で笑顔を見せる宮間あや氏

憧れのレジェンドとピッチで交流する「HER TEAM CUP」の意義

 創設されたチームを支援するだけでなく、選手同士や指導者をつなぐ場として毎年開催されているのが「HER TEAM CUP」だ。全国から集まったチームが試合や合同トレーニングを行うフェスティバル形式のイベントで、2026年は東西の2会場(JFA夢フィールド、J-GREEN堺)に分かれて開催された。

 会場には元なでしこジャパンの宮間あやJFA女子委員会副会長や岩渕真奈氏ら女子サッカー界のレジェンドたちもゲストとして駆けつけ、中学生たちと直接ピッチで汗を流す。天然芝の美しいピッチで仲間や憧れの元選手とプレーする体験は、中学生のプレイヤーたちにとっては特別な思い出だ。

 宮間副会長は「一歩踏み出すだけでたくさんのコミュニティや仲間に出会ったり、ふれあったりできるプロジェクトなので、重要な取り組みだと思っています」とコメント。参加者からは「小学校からサッカーを続けられてよかった」「同じウェアを着てプレーできるのが嬉しい」といった喜びの声が多く寄せられているという。また、イベント内では指導者同士の懇親会や情報交換の場も設けられており、チーム運営の悩みを共有し合える「横のつながり」を生み出す貴重な機会にもなっている。

 チーム数の増加に伴い、今後は開催場所や開催数の増加も検討中だ。全国のチームがさらに参加しやすい環境づくりによって、より身近な大会となることを目指している。

中学生たちと交流する岩渕真奈氏と宮間あや氏
中学生たちと交流する岩渕真奈氏と宮間あや氏

持続可能な環境づくりと「女子戦略」の先へ

 プロジェクトが7年目を迎え、一定の成果を収める一方で、持続可能なチーム運営に向けた新たな課題も見えてきた。指導者不足や年次ごとの部員数の偏りなど、地域チームが抱える悩みに対応するため、創設してきたチームの横のつながりを活かした、よりサステナブル(持続可能)な形での継続が模索されている。

 また、JFAが推進する「女子全体戦略」においても、小学生年代でのサッカーとの出会いを増やす取り組みとともに、中学生年代以降も「女子だけでサッカーを続けられる環境がある」と示し続けることの重要性が強調されている。「HER TEAM」は、チーム運営や選手の悩みに寄り添ったサポート体制を築くことで、将来的に日本サッカー界のより大きな発展にもつなげていく取り組みだ。現在、「HER TEAM」を通じて生まれたつながりは、選手・チーム同士の助け合いにも発展し、競技の枠を超えたコミュニティとしても実を結び始めているという。

 サッカーを愛するすべての少女たちが、途切れることなく夢を追いかけられる未来へ。JFAとアディダス、そして現場の指導者たちが同じ方向を向き、女子サッカーの裾野を広げる挑戦はこれからも続いていく。

 なお、2026年度の新規チーム創設支援の募集は、9月1日から9月30日までの期間で実施中だ。チーム創設を検討している指導者や団体は、アディダスの特設WEBサイトから詳細を確認可能となっている。

■「HER TEAM」新規チーム創設支援概要
https://www.adidas.jp/herteamproject



(FOOTBALL ZONE編集部)