久保建英の一撃に「恐ろしいウイングが戻ってきた」 10か月ぶり圧巻弾…現地確信「再びレギュラーに」

ゴールを奪ったレアル・ソシエダの久保建英【写真:REX/アフロ】
ゴールを奪ったレアル・ソシエダの久保建英【写真:REX/アフロ】

公式戦7試合ぶりの先発復帰で大活躍の久保建英

 今季レギュラー獲りに苦しんでいる久保建英は、直近のマラガ戦でようやくかつての姿を取り戻した。

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 スペインで8年目を過ごす久保の昨季までの成績を振り返ると、これまで最も出場機会に恵まれなかったのは2年目のビジャレアル時代だった。当時、19歳の久保について“まだ成長過程”と繰り返したウナイ・エメリ監督(現アストン・ビラ)の信頼を得ることができず、開幕6試合連続でベンチスタート。主戦場となったヨーロッパリーグでは目に見える結果を残したものの、最終的に公式戦19試合(先発7試合)、1得点3アシストという成績で、出場時間を求めて冬の移籍市場でヘタフェへと移籍した。

 当時と今季の開幕10試合の公式戦成績を比較してみる。2020-21シーズンは全10試合(先発3試合)、333分出場、2得点1アシストだったのに対し、今季は3試合出番なく、7試合(先発3試合)、252分出場、0得点0アシストと、出場時間は今季の方が短いことが分かる。

 このような状況で迎えた10月18日のラ・リーガ第9節マラガ戦、レアル・ソシエダにとって今季の公式戦11試合目で、久保は公式戦7試合ぶり、ラ・リーガ5試合ぶりに先発復帰を果たした。

 この日のポジションは10月15日のUEFAヨーロッパリーグ・リーグフェーズ第2節ユニオン・サン=ジロワーズ戦で途中出場した際にサプライズとなったトップ下ではなく、慣れ親しんだ右サイドハーフだった。

 試合後に「今日は絶対自分で行こうと決めていた」と話したように、久保は立ち上がりから積極的に仕掛ける姿勢を見せた。右サイドでボールを受けるや否や、かつての姿を彷彿とさせる切れ味鋭いドリブルでカットインし、ためらうことなく左足を振り抜くと、開始わずか3分で見事なゴールを決めてみせた。これは久保にとってペッレグリーノ・マタラッツォ監督指揮下における初ゴールであった。

 この日の活躍はこれだけにとどまらない。後半14分には今夏のワールドカップ優勝後に不調が続いていたエース、ミケル・オヤルサバルの今季初得点をお膳立てするアシストも記録。後半26分にピッチをあとにしたが、久保は5-2の大勝及びラ・リーガ3連勝に大きく貢献する1得点1アシストの活躍を披露した。

 今季初めてのゴールに対し、「ホッとしている」と安堵した様子を見せたのは、この日の得点が昨年の最終戦となったレバンテ戦(12月20日)以来のものだったからだろう。左足ハムストリングの重傷で公式戦12試合の戦線離脱を余儀なくされ、ワールドカップ初戦のオランダ戦での左膝負傷が予想よりも長引き、公式戦18試合連続無得点という厳しい時間が続いた後での、実に10か月ぶりの待望のゴールとなった。さらにこの試合では今季初アシストも記録したが、これは4月11日のアラベス戦以来、公式戦14試合ぶりである。

 マラガ戦での久保に対し、スペイン各紙は軒並み今季最高点をつけた。クラブの地元紙「ノティシアス・デ・ギプスコア」は「彼にとってこれ以上ないほど素晴らしい出来事だ」と称賛し、8点(最高10点)と高評価。もう1つの地元紙「エル・ディアリオ・バスコ」は「相手DFを引き付けるあの恐ろしいウイングが戻ってきた」と復活を喜び、4点(最高5点)と採点。全国紙の評価も高く、「AS」紙は最高の3点、「MARCA」紙は2点(最高3点)をつけていた。

エンリケ・アラリシオ記者(左)とルーカス・ガルシア記者【写真:高橋智行】
エンリケ・アラリシオ記者(左)とルーカス・ガルシア記者【写真:高橋智行】

現地記者が大絶賛「トレードマークと言えるゴールだった」

 この日の久保について、試合後、会場を訪れていた2人の記者に意見を伺うと、同様に称賛の言葉が尽きなかった。

 スペインのラジオ局「カデナ・セル」でマラガ戦を実況したエンリケ・アラリシオ氏は攻守にわたる活躍を評価した。

「特に立ち上がりが良かったと思う。事実上最初の攻撃でシュートを放ち、ゴールをものにしてみせた。久保にとってはこれ以上ないほど最高のスタートだったよ。前半は特に攻撃面で相手の脅威となり、守備もしっかりやっていた。後半途中の交代まで走り続けたことで少し疲れたようだが、今日はラ・レアルが試合を優位に進めるうえで、彼は非常に重要な役割を果たしていた」

 一方、久保が今季レギュラー獲りに苦しんでいることについては、コンディション不良が大きな障害になっているものの、復活は時間の問題と考えている。

「フィジカル面や90分間しっかり耐え抜く力がまだ少し足りないと思う。ただ、これまでさまざまな問題であまりプレーできていなかっただけで、フィジカル面が100%の状態に戻れば再びレギュラーに定着できるだろう」

 スペインの国営ラジオ局「RNE」で取材に訪れていたルーカス・ガルシア記者も久保のパフォーマンスを大絶賛した。

「今日はすごく良かったよ! 皆が長い間、最高の姿を取り戻すことを待ちわびていたと思う。久しぶりの先発だったにもかかわらず気負うことなく、開始早々に左足で内側に切り込んでゴールを奪う、まさに久保のトレードマークと言えるゴールだった。こちらでも結婚のことが伝えられていたが、それが自信を取り戻すきっかけになったのかもしれない。彼が最高のプレーを発揮できたのはレアル・ソシエダにとって朗報だろう」

 一方、久保のベンチスタートが続いた理由については、ポジション争いが原因の1つと捉えていた。

「練習で何が起きているのかは分からないが、今季のラ・レアルを見れば分かるようにチーム内での競争力が上がっているのは間違いない。しかし、ラ・レアルはラ・リーガとヨーロッパリーグを並行して戦っているため彼を必要としているだろうし、今後の過密日程でより多くのチャンスを得られるはずだ。今日のような素晴らしいゴールこそが、彼を先発起用する最大の理由となるだろう」

 ブラジル、パラグアイと対戦する次の国際Aマッチ期間まで、久保にはまだ公式戦5試合(リレストレム、レバンテ、アスレティック、リヨン、ラージョ・バジェカーノ)が残されているため、マラガ戦を機に弾みをつけ、再びレギュラーの座に返り咲くことを期待したい。

(高橋智行 / Tomoyuki Takahashi)



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高橋智行

たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。

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