身長196cmは「僕が持っている手札の1枚」 研究熱心な逸材…上田綺世を「見習いたい」

法政大学の相澤デイビッド「手札を今よりも増やしたいという気持ちでやってきました」
1月25日、新潟市内で日本文理高校サッカー部が主催する「Jリーガー相澤兄弟 激励会」が行われた。
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壇上には196センチ、94キロという圧倒的なフィジカルを持った日本文理高出身のFW相澤デイビッドが立ち、多くの関係者から祝福と激励を受けた。デイビッドは現在、法政大学の4年生で2026年からヴィッセル神戸入りが決まっている。
“相澤兄弟”と記しているように、デイビッドの3学年上の兄である相澤ピーターコアミは栃木シティの守護神として昨年J2昇格に貢献。今季も同クラブでプレーする。この日、ピーターコアミはキャンプのために不在だったが、その分、デイビッドが主役として堂々たる立ち振る舞いを見せた。
この式典の後、大役を務めたデイビッドに今の心境とこれまでとこれからについて聞いた――。(取材・文=安藤隆人/全2回の2回目)
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進学した法政大学では苦労の方が多かったが、この4年間で着実に成長を遂げることができたのは、高校時代から培ってきた学習意欲と鋭い洞察力があったからこそであった。
1、2年時はFW久保征一郎(水戸ホーリーホック)のプレーを参考に、3、4年時はアタッカーの中川敦瑛(柏レイソル)の動き出しやポジショニング、同級生のFW小湊絆(FC東京)の抜け出しとシュートを参考にした。
「大学でもフィジカル頼みのプレーが全てにならないように、もっと細部を磨いてより自分のフィジカルを上手に活用することを大事にしていました。試合に出ていなくても、しっかりと頭を働かせることができれば、練習や練習試合などでチャレンジすることはできる。
例えば、絆のプレーを見るときは、『なぜあそこまで点が取れるのか』という疑問から入って観察する。そうすると別に何か特別なことをしているようには見えなかったので、さらによく注視したら基本に忠実なプレーをしていることに気づいたんです。
こぼれ球にしっかり反応して詰めるところや、抜け出しのタイミングとスピードを普段の練習から突き詰めていたからこそ、あの質が出せるんだと見ていくうちに分かった。そこは僕にも落とし込めると思ったので、練習で彼のプレーを目で追いながら動きを真似たり、その動きを逆に活用したりと、頭で考えながらプレーをしていました」
練習から手を抜かない、集中してやる。当たり前のことだが、この当たり前のことをやれない選手はいる。相澤がこの思いを強く持っているのは、試合に出たいという気持ちはもちろんのこと、「手札を増やしておけば将来アドバンテージになる」という思考によるところが大きい。
「あくまでこのサイズとフィジカルは、僕が持っている手札の1枚だと思っています。これまで手札を今よりも増やしたいという気持ちでやってきましたし、それはこれからも変わりません。『ここはフィジカル』『ここはこの技術』と選んで使えるような選手になりたいと思っています」
今、股関節の可動域を広げたり、フォームを整えたりと復帰に向けてコンディションを上げているなかで、大迫勇也や佐々木大樹らの神戸のストライカーのプレーを間近で、アーリング・ハーランド(マンチェスター・シティ)やマルクス・テュラム(インテル)、上田綺世(フェイエノールト)らの海外のストライカーのプレーを映像で見て学んでいる。特に法政大の先輩でもある上田のプレーは学ぶところが大きいという。
「上田選手は182センチとヨーロッパでは大型ではないのですが、よりサイズが大きいオランダ人などを相手にヘディングでバンバン点をとっている。それには必ず理由があると思って注意深く見るようになりました。
上田選手は相手の見えないところから入っていくとか、相手の前に入ることができるように事前にわざとポジションを後ろやずれた位置に取って、そのスペースを空けてから一瞬のスピードで前に入る。
その駆け引きの質とタイミングが素晴らしいなと思うようになって、復帰したらそれを取り入れていきたいと思うようになりました。こぼれ球へのポジショングもすごくて、溢れる場所に必ず予測をしているんですよね。そこは見習いたいと思っています」
高い意識と意欲を持てば、どんな時間も成長するチャンスにすることができる。これが相澤の揺るぎない信念だ。
「今までのサッカー人生を振り返っても、這い上がるというところは継続的にやってきたと思うので、今回も考えながら上を目指してやりたいと思います」
気力は十分。規格外のストライカーがJ1リーグを震撼させるときが来るように。相澤は自分を信じて入念に爆発に向けての準備を、頭をフル稼働させながら積み重ねている。
「ここに集まってくださった皆さんを喜ばせるようなプレー、結果を出したいです」
新潟での1日は相澤にとって、新たな決意表明を示したときであり、自分がこれからプロの世界で躍動していく意義を再確認する時間であった。
(安藤隆人 / Takahito Ando)
安藤隆人
あんどう・たかひと/岐阜県出身。大学卒業後、5年半の銀行員生活を経て、フリーサッカージャーナリストに。育成年代を大学1年から全国各地に足を伸ばして取材活動をスタートし、これまで本田圭佑、岡崎慎司、香川真司、南野拓実、中村敬斗など、往年の日本代表の中心メンバーを中学、高校時代から密着取材。著書は『走り続ける才能達 彼らと僕のサッカー人生』(実業之日本社)、早川史哉の半生を描いた『そして歩き出す サッカーと白血病と僕の日常』、カタールW杯のドキュメンタリー『ドーハの歓喜』(共に徳間書店)、など15作を数える。名城大学体育会蹴球部フットボールダイレクターも兼任。













