堂安律が直面する「ビッグクラブならでは」 外野からの批判も…磨いた“武器”「リスク冒しても」

フランクフルトは前半戦を7位で終えた
日本代表MF堂安律がフランクフルトへ移籍して最初の4か月が終わった。ブンデスリーガは冬休みに入り、選手はそれぞれつかの間の休息を楽しんでいることだろう。
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今季、欧州チャンピオンズリーグ(CL)に出場しているフランクフルト。ディノ・トップメラー監督は12月に「CLとのハードな日程の中で、チームにはフレッシュさが欠けているのは確かなところだ」と振り返っていたことがあるが、堂安も、フランクフルトも、CLとリーグを並行して戦う難しさと直面していた。
リバプール、FCバルセロナ、アトレティコ・マドリード、ナポリといった欧州の強豪クラブと対戦するCL。その刺激はMAXで、選手にとっては夢の舞台だ。そこにかけるモチベーションとエネルギーは常に最大限だし、できるだけの準備をして臨む。同時並行で進むリーグ戦にも、プロ選手として同じようなモチベーションとエネルギーで臨もうとはしている。でもそれがなかなかできない難しさともどかしさがある。堂安にしてもヨーロッパリーグでの経験はあるが、CLでのそれとはまるで違うと振り返っている。
「違いますね。自分の中ではブンデスリーガの方がヨーロッパリーグよりも大きいという感覚がある。ヨーロッパリーグに対してモチベーションの作り方とかはあまりしていなかった。今は逆でチャンピオンズリーグに対して身体を作ってきているというのはチームとしてもある。特に若い選手はそこへのモチベーションも高い」
チーム作りとしても、試合への準備としても難しい局面に何度も直面しながら、苦しい試合を何度もしながら、リーグでは15節終了時で勝ち点25の7位につけている。CL圏の4位ライプツィヒまでの勝ち点差は4と充分射程距離だ。それでも批判的な声が上がるところを、昨季までいたフライブルクとの違いとして堂安は挙げていた。
「周りからの目っていうのは間違いなく上がってます。取っている勝ち点だとか、今いるポジションだっていうのは悪くない。なのにこれだけ外野からの声が届くっていうのは、やっぱりビッグクラブならでは、上を目指しているクラブならではの要求だと思う。そこは非常に楽しみながら、あまりネガティブにならずにやってます」
チームがうまくいかない時期はフライブルク時代にも経験している。当時は堂安自身が不調に陥り、監督がポジションを変えて、タスクを抑えて復活のきっかけを作ってくれたりということもあった。今回は堂安の調子はいいが、チームとしての攻守のバランスやギアがうまく上がらないという問題と向き合っている。
「しっかり我慢しながらゼロで抑えればという意識をしています。点は取れる。マインツとかアウグスブルク戦みたいにゼロで我慢できれば、個人の能力的に各選手が一発で仕留める能力はある。様子を伺いながら待ってますね」
まさにその言葉通り、堂安は10節マインツ戦と14節アウグスブルク戦とで自身の個人技からゴールを奪い、チームに勝ち点3をもたらしている。トップメラー監督は堂安のプレーについてマインツ戦後には「だからこそ彼を獲得したんだ。2人の相手選手を振り切り、視野を失わずに、素晴らしいゴールを見せてくれた」と称賛し、アウグスブルク戦後には「今日の勝利は間違いなく意志力によるものだ。例えばゴールシーン。堂安はシュートに持ち込む前に2度ファールを受けている。だがそこで彼はこらえた。絶対にシュートを打つという意志があったからだ」と、勝利の立役者を褒めたたえていた。
どちらの試合でも難しい試合展開で、理想的とは言えない状況でボールをもらいながら、シュートに持ち込み、ゴールを決めたところに堂安の成長ぶりを感じさせる。
「相手が引いていて、自分のところにボールが入ったら1対2の状況を常に作られていた。そこの難しさがありました。多少リスクを冒していく必要もあったかなと思います」
これは1-3で敗れた3節レバークーゼン戦後の堂安の言葉だ。それ以降の試合でも堂安への警戒は強く、2人、それこそ3人でつぶしにくることもざらにある。チームが苦しいからこそ自分のところで違いを作ろうとみんながする。でもそこで判断が鈍り、逆にミスが増える選手は少なくない。そこで勝負し、しかも突破し、さらにゴールを決める。そこはずっと取り組み続けている成果と結果が、今につながっているのだ。
W杯シーズンとなる2026年はどうなるだろう?
「今はチーム状況もあるので、数が少ないのは仕方ない。もう少し点が取れるポジションに入っていけたらなと思ってます」
そんな難しいチーム状況でもやれることと向き合い、数字も残した。単独での状況打開力をバージョンアップさせたことは大きい。
フランクフルトは手薄の前線にテコ入れすべく補強に動いている。すでに2部で12得点をマークしているユネス・エプヌタリプを獲得。負傷離脱中のエースFWヨナタン・ブルカルトも復帰してくるだろう。よりプレーしやすく、自身の特徴を出しやすい状況になってくるはずだ。ゴール、アシストという数字もついてくるだろう。
2026年、堂安の完成度はさらに高まるに違いない。
(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)

中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)取得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなクラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国で精力的に取材。著書に『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

















