2年生で強豪守護神も…甘さ出た4失点「忘れられない大会」 187cm逸材が描く成長曲線

前橋育英高校の南京佑「インターハイは本当に忘れられない大会になりました」
高校生たちにとって全国大会が終わったこれからが本当の夏を迎える。インターハイ、Jクラブユース選手権。覇権を手にしたチーム、志半ばで敗れたチーム、全国にたどり着けなかったチーム。それぞれの思いを抱えながら、全国各地のフェスティバルや合宿で夏以降の捲土重来を誓う選手たちの思いを描く“真夏の挑戦者”シリーズ。
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第1回はインターハイ2回戦で高知中央に後半アディショナルタイムでの逆転負けというショッキングな敗戦を喫した前橋育英の2年生守護神・南京佑。昨年度の選手権優勝をスタンドで見つめ、そのメンバーが多く残るタレント集団のなかで台頭をしてきたGKの思いとは。
「インターハイでの僕は……もう甘さが出たとしか言いようがありませんでした。僕の武器はコーチングだと思っているのに、あの2失点はいずれも守備の連携ミスから生まれた。1失点目のPKを与えたシーンは僕が飛び出してカバーをしても良かったし、2失点目のシュートはロングボールに対しての市川(劉星)さんと久保(遥夢)さんの2CBへの指示が甘かったし、市川さんが相手と入れ替わられたときに、予測の部分で前に出ないで、シュート対応に切り替えるべきだった。もっとやれていれば、あの2失点はありませんでした」
高知中央戦から10日間後、彼らは石川県の和倉ユースサッカー大会のピッチに立っていた。グループリーグを1位で突破し、準々決勝まで駒を進めたが、同じプレミアリーグEASTに所属し、1位を走る鹿島アントラーズユースと激闘の末に1-1からのPK戦で敗れた。
「もっと勝ちに貢献できる存在にならないといけないと責任を感じながら和倉に来ました。鹿島に対してマークがずれないように意識をしましたが、勝ちきれなかったのは悔しいです」
敗れはしたが、南のプレーは安定していて、ハイボールキャッチやセービングは光っていた。試合もまさに一進一退の攻防戦で、さすがプレミアEASTの1位vs4位の戦いだった。
「僕のなかでインターハイは本当に忘れられない大会になりました。高知中央戦だけでなく、1回戦の高川学園戦でも1失点目のミドルシュートは自分の立ち位置の甘さ、準備不足がそのまま出たシーンでしたし、2失点目のPKもコースを読んでいたのに止められなかった」
次々と出てくる反省の弁。その裏側には名門である前橋育英のゴールマウスを守るという責任の重さを、これでもかと味わった彼の覚悟があった。
「一昨年の雨野颯真(2年時にインターハイ優勝GK、前橋育英)さん、昨年の藤原優希(選手権優勝GK、東洋大)さんはチームを勝たせられるGKだった。一方で僕はインターハイ4失点。2年生で前橋育英のゴールを任させるというのは大きな責任が伴うし、喜びもあります。だからこそ、ここで甘えずにもっと自分の技術向上と、フィールドの選手とのコミュニケーションを積極的に図って、自分に信頼を置いてもらえるような存在になりたいと思っています」
もちろん彼は全国的に見てもかなりの実力を持つGKだ。190センチのサイズを持ってGKをやっていた父親の跡を継ぐように、187センチの長身GKとして成長を続け、その身長はまだ伸びているという。
俊敏性もあり、セービングの際に両手を出すスピード、面を作ってブロックするスピードも早く、ハイボールも安定している。来年は間違いなくこの年代屈指のGKとしてさらに注目を浴びるだろう。だが、それも敗戦を糧にして、反骨心を持って努力し続けないと為し得ないものであると、彼は理解している。
「僕がいつでもチームにプラスな声をかけて、コーチングでも予測の精度を高めて未然にピンチを防ぐ。その上でゴールに飛んできたら自分が全て止める。プレミア後期、選手権、そして来年と、チームから頼られる存在になるために、この夏で自分を徹底して鍛えたいです」
GKはミスと失点を重ねて強くなっていく。上州のタイガー軍団の2年生守護神は、今まさに成長曲線を描く真っ盛りにいる。




















