川崎フロンターレ戦力26人「中間評価」 Sランク評価不在…“目玉”新助っ人も期待外れに【コラム】
リーグ前半戦19試合に出場した既存戦力をS~Dの5段階で「中間評価」
近年のJ1リーグを牽引してきた川崎フロンターレは今季前半の19試合を終え、まさかの14位に沈んだ。昨季の前半戦順位(9位)よりも大きく落ち込んだなかで、改めてリーグ前半戦に出場した26選手のパフォーマンスをS~Dの5段階で「中間査定」。そのうえで夏の補強動向を考察する。
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リーグ戦19試合を終え、勝ち点21で、順位は14位。チームとしては不本意な位置でしかなく、鬼木達監督も「順位に関しては納得できるものではないです」としている。ただ同時に、「この順位にいるということは足りないものが多くあるということだと思っています」と冷静に受け止めている。安定感の欠いた戦いが続いたことは、一度も連勝がないまま前半戦を終えた結果が物語っている。
シーズンのスタートはAFCチャンピオンズリーグ(ACL)だったが、ホームでの逆転負けによりラウンド16で敗退。アジア制覇という大きな目標は早々に頓挫した。これによりチーム全体がトーンダウンした感も否めなかった。
気持ちを切り替えたリーグ戦だったが、第2節のジュビロ磐田戦(4-5)から3連敗を喫するなどスタートダッシュに失敗。第6節の横浜F・マリノス戦(0-0)からは4試合連続無得点など得点力不足に喘ぎ、最終ラインに負傷者が続出するなど、序盤から苦しい戦いを余儀なくされた。
前半戦における誤算を探ると、獲得した新戦力が主力として稼働出来なかったことは指摘しなくてはいけないだろう。例えばFWの目玉として獲得したエリソンは、開幕からの連続得点で期待を抱かせたものの、コンビネーション不足や負傷により第3節から沈黙。中盤に目を向けると、MF山本悠樹やMFゼ・ヒカルドはスタイルの適応に苦戦し、定位置確保とはならなかった。
最終ラインに関しては怪我人が目立ち、左サイドバックのレギュラーだったDF三浦颯太が長期離脱となり、DF丸山祐市も離脱を繰り返し、出場時間は限られた。昨シーズンから約3分の1に近い選手の入れ替えがあっただけに、獲得した新戦力でチーム力を底上げ出来なかったのは痛手だったと言える。
夏の補強に関しては「怪我人の問題で必要かどうかという話をしています」と指揮官は話す。同時に「最近は怪我人が戻ってきてむしろ厚みが出てきています。紅白戦のレベルも上がってきたので、あまり考えていない。状況に応じて考えたい」と述べるに留めている。
選手の出入りは、あったとしても最小限になりそうだ。後半戦に向けて戦列に復帰してきている選手の中には、MF大島僚太やDF車屋紳太郎、FW小林悠といったチームスタイルを体現してきた者もいる。彼らの復帰は、後半戦に巻き返しに向けた心強い材料となりそうだ。
ここまでのリーグ戦に出場した26選手を査定すると、90分以下の出場時間だった3選手(DF田邉秀斗、MFパトリッキ・ヴェロン、FW宮城天)はD評価とせざるを得ない。一方で、S評価と言えるほど特筆すべきパフォーマンスを発揮した存在は見当たらなかったのが現状だ。
キャプテンとして奮闘するMF脇坂泰斗、ブレイクの兆しを見せる2年目のFW山田新や3年目のDF佐々木旭らA評価を付けた面々は安定した活躍を見せ続けて欲しいところ。前半戦に出番の少なかったDFファンウェルメスケルケン際(B評価)や新人のMF山内日向汰(C評価)、今季復帰した宮城は徐々に存在感を見せており、後半戦の巻き返しのキーマンとして注目しておきたい。
川崎フロンターレのリーグ戦出場26人「中間評価」S~Dの5段階評価内訳
■S評価
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■A評価
チョン・ソンリョン、大南拓磨、佐々木旭、橘田健人、脇坂泰斗、バフェティンビ・ゴミス、山田 新
■B評価
上福元直人、高井幸大、ジェジエウ、ファンウェルメスケルケン際、瀬川祐輔、家長昭博、瀬古 樹、マルシーニョ、遠野大弥
■C評価
三浦颯太、丸山祐市、ゼ・ヒカルド、山内日向汰、山本悠樹、エリソン、小林 悠
■D評価
田邉秀斗、パトリッキ・ヴェロン、宮城 天
いしかわごう
いしかわ・ごう/北海道出身。大学卒業後、スカパー!の番組スタッフを経て、サッカー専門新聞『EL GOLAZO』の担当記者として活動。現在はフリーランスとして川崎フロンターレを取材し、専門誌を中心に寄稿。著書に『将棋でサッカーが面白くなる本』(朝日新聞出版)、『川崎フロンターレあるある』(TOブックス)など。将棋はアマ三段(日本将棋連盟三段免状所有)。