鹿島ピトゥカ退場判定への拍手行為「リスペクトに欠ける」 抗議の所作に専門家見解

鹿島のディエゴ・ピトゥカ【写真:徳原隆元】
鹿島のディエゴ・ピトゥカ【写真:徳原隆元】

C大阪戦でVAR介入→レッド提示となった鹿島MFピトゥカの判定を議論

 スポーツチャンネル「DAZN」の判定検証番組「Jリーグジャッジリプレイ」で、9月16日のJ1第27節、鹿島アントラーズとセレッソ大阪の試合が取り上げられた。ここでは鹿島MFディエゴ・ピトゥカが退場処分になった場面と、それに続く鹿島の抗議が議論された。

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 前半23分、ピトゥカがFW鈴木優磨とのワンツーで前線に進出しようとしたところ、リターンパスの受け際で相手MF喜田陽と接触した。岡部拓人レフェリーはこの時点でピトゥカのファウルと判定していた。さらに川俣秀VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)からの進言でオンフィールドレビューが行われ、ピトゥカの左足が喜田を踏みつけていると判断した岡部レフェリーはピトゥカにレッドカードを提示した。このジャッジに鹿島が抗議し、岩政大樹監督にはイエローカード、通訳にはレッドカードが提示された。

 通訳へのレッドカードの理由は、主審の判定に拍手を送る姿が確認され、理由は「暴言」とされていること。岩政監督には「異議」でイエローカードが提示されていると公式記録が紹介されている。

 ゲスト出演した元日本代表MF福西崇史氏は、まず判定について「レッドカードでいいと思う。遅れていく、キックの時に先に触られてしまうことはあるが、この(踏んでしまった)あとに体重を乗せてしまったのは危険だと思う」と話した。そして選手目線で「ディフェンスのほうはどうしようもない。(ボールを)蹴ろうとしている攻撃側もどうしようもない部分はあるけれども、接触したあとに体重を逃がすことはどうにかできるのではないか」と話した。

 元国際審判員の深野悦子氏は「退場だと思いました」として、「現場のレフェリーから懲戒罰がなかったので、そこはどうかなと思った」と、最初の時点での岡部レフェリーの判断に疑問を呈した。

 元国際審判員・プロフェッショナルレフェリーの家本政明氏は「レッドカードは今の世界的な流れからしても仕方ない。ピトゥカ選手に悪意がないのは分かって、フットボールをしようとした結果でしたけど、ああいう形になってしまったものに対してレッドカード、VAR介入してというのはそうだと思う。これは2メートルくらいのいいアングルで見ている。そこで懲戒罰が判断できなかったのは残念。どうしたのかなと。少なくともイエローカードは現場で判断できなかったかと。すごくいい角度で見ている。これが分からなかったというのは、僕は経験者としてはあり得ないというか、『ああ!』と思ったと思う」と、深野氏と同じ考えを示した。

鹿島サポーターから審判に対する攻撃的チャントに元日本代表「残念」

 その後の抗議について福西氏は「言いたい気持ちも分かるけれど、映像を見せることができたら収まる人もいるのではないか」として、「どこまでの抗議が抗議なのか分かりづらいところもある。意見として言いますというのものなのか、興奮して『おい!』と言うのかで印象も違う。拍手しているのはレフェリーに向いているので、リスペクトを欠いている部分はあると思う」と話した。

 深野氏は「鹿島の皆さんが興奮したのは2段階違った(ノーカードからレッドカード)からだと思う。だからと言って、リスペクトに欠けるような行為はよろしくない。じゃあどうすれば、というのはなかなか難しいけれども、せめてテクニカルエリアから出ないとか。拍手もエリアから出て、わざわざ立ち止まってしているので、アクションが大きい」と話す。

 また、先日の女子ワールドカップ(W杯)にも国際サッカー連盟(FIFA)のアポイントで訪れていたという深野氏は「拍手に限定していなかったが、ボールを叩きつける行為や副審に詰め寄る行為には毅然とイエローカード以上の対応をしましょうと言うのが出ていた。かなり選手のほうに自粛していただいていたと感じる。そういうシーンはなかったのではないか」と、FIFA主催大会での基準について話した。そして「W杯ではオンフィールドレビューのあとに判定が変わる時はアナウンスをした。有効だったと思う。この場面でもアナウンスできればスタジアム全体が落ち着いたと思う。ただ、Jリーグはまだ認められていないので、この動きは広がるかもしれないと感じた」と話した。

 家本氏は拍手をする行為について「どう受け取るかが1つ。岩政監督の異議もそうだけれども、それ以外になかったのかや、もっとひどいもの、間違いとは言わないが、だったらというのがあるかもしれない。通訳の方の拍手は岡部さんも見えていたのかなと。そこを4th(第4審判)が見ていて主審に助言した。でも、レッドカードを出したあとに安西選手も同じように拍手する。それは4thの方の延長線上にあるのに、そこは見逃される。正しさとは何なのだろうと。鹿島の選手の気持ちも分かるし、認められないものも多々あったなかでどこまで正しさを追求するか。それはマネジメントでデザインだけど、もっと別のやり方があったのではないか」と話していた。

 また、鹿島サポーターから審判に対する攻撃的なチャントが歌われたことについて福西氏は「残念。ホームゲーム、自分たちのチームが不利になるというのはあるけど、してはいけないことはしないほうが健全だと思う」として、マネジメントについては「終わってから選手やキャプテンを呼んで説明するのは良いと思うが、話し合ってから、1回冷静になって話をしてから、こういう理由で退場にしますとしてからのほうが。興奮状態になって聞き耳は持たないとなってからでは制御できない」と話していた。

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