遠藤航が欧州遠征で発揮した「リバプールに求められている選手の自覚」 仲間も感嘆、別格の存在感【現地発】
ドイツ戦、トルコ戦ともに出場して高水準のパフォーマンスを見せた
欧州のビッグクラブが目に止める能力は伊達ではないことを証明する2試合だった。
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日本人目線で言えば、今夏の移籍市場を最も騒がせたのは遠藤航のリバプール移籍だろう。2018年にシント=トロイデンに移籍して以降、欧州で活躍する遠藤は、2019年に期限付き移籍で加入したシュツットガルトに計4シーズン在籍。ブンデスリーガのデュエル勝利数で2年連続トップの数字を叩き出し、デュエル王として大きな存在感を示した。今夏にはそのパフォーマンスが評価され、プレミアリーグのリバプールへ。ここまで3試合に出場するなど、まずまずのスタートを切っている。
そんな遠藤が“リバプールの選手”となって初の代表戦。これまで以上に関心が集まるのは明らかだった。対戦相手もカタール・ワールドカップ(W杯)で勝利したとはいえ、世界の強豪国の1つであるドイツ。ホームでリベンジに燃える相手に、どこまでのパフォーマンスを見せるかが注目された。
結論を先に言えば、ドイツ戦の遠藤は出色の出来を見せることになる。「この2週間で自分が急激に成長するわけではないので、やることはそんなに変わらない。自分らしさをドイツ戦でも出せるように頑張りたい」と試合に臨んだ遠藤は、立ち上がりからエンジン全開でプレー。対峙した選手たちに対して強烈な寄せからの球際勝負や的確な読みでボールを奪取すれば、コンビを組んだ守田英正とともにいい立ち位置を取りながらビルドアップに貢献。攻守に重要な役割を果たした。
特にデュエルのところではチーム随一の力を発揮。対面のイルカイ・ギュンドアンやエムレ・ジャンからボールを奪う姿は流石の一言だった。これは遠藤も「いつもより高めのポジションだったんですけど、後ろで相手を見ながら入ってきたところを潰すことや、1人剥がされた時に自分がサポートできるようなポジショニングは意識していた。人に行くということに対しては、かなり個人的なパフォーマンスは良かったと思う」と自認するほどで、手応えのある内容となったことは間違いない。
また、チームが途中からシステムを変えた中でも柔軟に対応。行く時と行かない時の判断を明確にし、主将として最後までチームを牽引することで4-1の勝利に大きく貢献した。
ドイツ戦でチームの柱であることを証明した遠藤は、中2日で迎えたトルコ戦でも確かな存在感を示すことになる。この日はベンチスタートとなったが、押し込まれ始め、守備のフィルターがかからなくなった後半途中に出場。そこまで自陣深くまで前進を許していた中で、守備範囲を広げつつ球際の強さを生かして相手の攻撃をうまくシャットアウトした。このパフォーマンスには、遠藤と代わってベンチに下がった伊藤敦樹も感嘆していた。
「航さんの存在感は目指すべきところ」
「やはり航さんの存在感は自分が目指すべきところだと思います。あれくらいの存在感を守備で出して、そこから攻撃もより前に出ていくことができれば、もっと怖い選手になれると思う。ああいった選手とこういう代表活動で一緒に活動をさせてもらって、本当に学ぶことが多かったです」
別格の存在感を見せた遠藤としては、代表で見せたパフォーマンスをあとはクラブへつなげることが重要だ。クラブではまだ新参者。険しいポジション争いを乗り越えていかないといけない。だからこそ、やるべきことは決まっている。
「自分はリバプールに求められている選手だという自覚を持ってプレーすることが大事だと思う。監督から期待されているのも、実際に会って話してみてすごく感じたので、あとはピッチ上で自分の良さを表現するところだけ。とにかく期待に応えられるように頑張りたい」
リバプールで中心的な存在になることができれば、代表に新たなものを還元できるようになることは間違いない。さらなる進化を求め、遠藤はクラブでの日々に邁進していく。
林 遼平
はやし・りょうへい/1987年、埼玉県生まれ。東日本大震災を機に「あとで後悔するならやりたいことはやっておこう」と、憧れだったロンドンへ語学留学。2012年のロンドン五輪を現地で観戦したことで、よりスポーツの奥深さにハマることになった。帰国後、サッカー専門新聞『EL GOLAZO』の川崎フロンターレ、湘南ベルマーレ、東京ヴェルディ担当を歴任。現在はフリーランスとして『Number Web』や『GOAL』などに寄稿している。