森保ジャパンで際立った鎌田大地の存在 英記者が手放しで絶賛「レギュラーとして活躍が続くことを期待」

ペルー戦にスタメン出場した鎌田大地【写真:高橋 学】
ペルー戦にスタメン出場した鎌田大地【写真:高橋 学】

【識者の目】ペルー戦は「楽しいゲームを視聴者に見せてくれた」

 森保一監督が率いる日本代表(FIFAランキング20位)は、6月20日に南米のペルー代表(同21位)4-1と圧倒。かつてアジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、昨年のカタール大会でワールドカップ(W杯)を7大会連続で現地取材した英国人記者のマイケル・チャーチ氏は、ペルー戦の日本の躍動を「嬉しいサプライズ」と称えている。

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 シーズン終了直後のキリンチャレンジカップの試合でポジティブな成果が得られることは稀だ。選手たちは休息に入るまでの時間を惜しんでいるようで、義務的な雰囲気さえ漂っていることが多い。

 今季は特に、冬にカタール・ワールドカップ(W杯)があったために、参加した選手たちの疲労は目に見えて明らかだった。

 それにもかかわらず、日本が4-1でペルーを下したこの試合は、親善試合とは思えないエンターテインメントを提供した。特にインテンシティーの高い前半はオープンで、楽しいゲームを視聴者に見せてくれた。これは嬉しいサプライズだった。

 森保ジャパンは木曜日の試合で、10人のエルサルバドルをいとも簡単に撃破した。吹田スタジアムで行われるペルー戦はサムライブルーにとってより厳しいテストになると予想されていた。

 確かに大部分はその通りになった。しかし、森保監督は選手をローテーションしながら快勝を収めた。

 エルサルバドル戦でも明らかだったように、チームの再生と攻撃的タレントの成長によって、森保監督には豊富な選択肢が与えられるようになった。

 三笘薫と旗手怜央は先発の座を守り、上田綺世、守田英正、久保建英、堂安律に代わり、伊東純也、遠藤航、鎌田大地、古橋亨梧が起用された。しかし、人は変わってもフォーメーションはほとんど変わらなかった。

 最も傑出していたのは鎌田だった。特に前半、彼の勤勉さと素晴らしいパスが輝きを放った。エルサルバドル戦の堂安と同じような役割で、鎌田のインテリジェンスの高さと仕事量はペルーの選手たちを圧倒していた。

 前半10分の三笘へのボールは彼のパスの素晴らしさを示していた。同21分には鎌田のパスから抜け出した三笘が菅原由勢にチャンスをもたらしたが、惜しくもシュートは枠を捉えることができなかった。

 伊藤洋輝のロングシュートでサムライブルーがリードを奪った15分後、鎌田が日本の2点目に貢献したのは驚くことではなかった。

 鎌田は菅原からの力強いパスをファーストタッチで巧みにコントロール。そして流れるような動きで三笘の下へとボールを届け、日本のアドバンテージを倍増させた。

カタールW杯で波に乗れなかった雪辱を果たす

 カタールW杯では説得力のあるパフォーマンスを見せることはできなかった鎌田だが、この試合では6シーズンに渡ってドイツのフランクフルトで活躍し、契約が切れる今夏にヨーロッパのトップクラブが獲得を狙う選手としての存在感を示していた。

 鎌田は遠藤と並ぶこともあれば、2人が並ぶ8番や10番の役割を果たすこともできる。時には前線で古橋と並んでプレーする。この多才さで、グラウンドの至る所をカバーし、さまざまなエリアでプレーに関与することができる。ペルー代表はこの26歳のダイナミズムに対応するための答えを持っていなかった。

 日本代表での鎌田が時に一貫性のないパフォーマーだった。だが、今後はレギュラーとして安定した活躍が続くことを期待したい。

マイケル・チャーチ

アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。

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