【W杯】「もったいないプレー」 コスタリカに敗戦した日本 楢﨑正剛氏が考えるスペイン戦の攻略は「守から攻への切り替え」

ピッチに立つ選手たちが感じるカウンターの恐怖がリスク回避を優先させた

 難しかったのは、同時にカウンターのリスク管理を徹底すること。強引なパスを狙って奪われた場合を考えると、どうしても安全な組み立てになってしまいます。前半の日本はボールの動かし方が相手の守備ブロックの外側ばかりで、効果的な縦パスがなかなか入りませんでした。

 一見、コスタリカのカウンターにはあまり怖さがないようでした。でも、それは映像で見ている側の印象でしかありません。実際にピッチに立ってプレーしている選手たちは、ちょっとしたことがきっかけで恐怖心を感じるもの。W杯の舞台になれば責任も大きくなるので、どうしてもリスク回避を優先したくなるのです。

 日本は選手交代でゴールを狙いましたが、最後まで被カウンターのリスクヘッジだけは欠かさない戦い方でした。この狙いはコスタリカにカウンターからのチャンスをほとんど作らせなかったことからも奏功したと言っていいでしょう。前後半通じて相手の攻撃に慌てるような場面は皆無に等しかった。
 
だからこそ自陣ゴール近くでのボールロストとやや中途半端になったプレーが続いた失点場面が悔やまれてなりません。あの位置でボールを奪われてしまうと、どんな相手でも致命傷になってしまう。ほんのわずかな隙を見逃してくれないのがW杯です。

 凡ミスだったとは思いませんが、ちょっとしたズレが生じたのは事実でしょう。クリアすべきかどうか、コーチングの声はあったのか、あるいは聞こえなかったのか。パスをつなぐのならば、質はどうだったのか。90分のなかで隙をゼロにしなければいけない試合としては、一連のプレーに甘さがあった印象は否めません。

 GKとしては、ボールを奪われた状況から考えて万全の準備をするのは難しかったかもしれない。少なくとも前後のポジション修正は必要でした。権田修一選手としてはもっと強いシュートが飛んでくると予測していたはずで、タイミングを失った形でのセービングになってしまいました。

 本来であれば足を運んで簡単に取れるシュートにしなければいけなかったので、本人には悔いが残っているはず。日本代表としてW杯でゴールマウスを守るクラスの選手であれば過去に経験したことのある類だと思いますが、それでも対応が難しい場合はあります。ただ、もったいないプレーという見え方になるのも仕方ありません。

 あまりプレー機会がない展開での難しさもあったのでしょう。攻められ続ける展開はメンタル的にきついですが、ボールがあまり飛んでこない試合もリズムを作りにくい。ですが、良いGKは少ない登場機会でも確実にプレーします。

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藤井雅彦

ふじい・まさひこ/1983年生まれ、神奈川県出身。日本ジャーナリスト専門学校在学中からボランティア形式でサッカー業界に携わり、卒業後にフリーランスとして活動開始。サッカー専門新聞『EL GOLAZO』創刊号から寄稿し、ドイツW杯取材を経て2006年から横浜F・マリノス担当に。12年からはウェブマガジン『ザ・ヨコハマ・エクスプレス』(https://www.targma.jp/yokohama-ex/)の責任編集として密着取材を続けている。著書に『横浜F・マリノス 変革のトリコロール秘史』、構成に『中村俊輔式 サッカー観戦術』『サッカー・J2論/松井大輔』『ゴールへの道は自分自身で切り拓くものだ/山瀬功治』(発行はすべてワニブックス)がある。

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