「日本では間違いは嫌われる」 元Jリーグ監督ロティーナ氏が“ミスへの意識”に見解

今季途中までJ1清水を率いたミゲル・アンヘル・ロティーナ氏【写真:Getty Images】
今季途中までJ1清水を率いたミゲル・アンヘル・ロティーナ氏【写真:Getty Images】

ロティーナ氏は「サッカーはミスのゲーム」とチャレンジの大切さを主張

 今季途中までJ1清水エスパルスを率いたミゲル・アンヘル・ロティーナ氏が、スペインのバスク地方紙「Deia」で日本での経験について語っている。記事ではタイトルが「日本ではミスがひんしゅくを買う」とされ、そのメンタリティーについて触れている。

 ロティーナ氏は2017年、J2東京ヴェルディの監督として来日し、2シーズンの指揮を執った。その後にセレッソ大阪で2シーズン、1年目の途中で解任された今季の清水と歴任した。現在はスペインに帰国している。

 そのロティーナ氏は、Jリーグの選手たちについて「技術的に非常に優れたプレーヤーはたくさんいるが、競争力が弱い。だから、彼らはヨーロッパでプレーをしたがる。中国や中東にお金を稼ぎに行くのではなく、サッカー選手として成長するためにヨーロッパに来たいんだ。それは、彼らの持つ強迫観念とさえ言えるだろう」と見解を述べている。

 Jリーグで実績を残し、日本代表でも中心選手になるような、ほんの一握りの選手が欧州に渡っていたような時代から大きく変化し、今では欧州の5大リーグだけではなく、ベルギーなどにも多くの選手が所属している。2部リーグなども含めれば、相当数の選手が欧州にいる。その原動力について、ロティーナ氏は「サッカー選手として成長するため」と語った。

 一方で、育成時代から含めて日本にあるメンタリティーについては、疑問を呈しつつ実際の指導から受けた印象を交えて指摘している。

「彼らは非常に巧い。ある日、サッカースクールの練習を見に行ったら、8歳や9歳の子どもたちが毎日1時間、テニスボールを持ってフットワークをやっているんだ。疲れるなんてもんじゃない。それに、1時間半しかないトレーニングなんて考えられない。ましてや週に2日は休みなどと言ったら説教をされそうだ。

 日本では、間違いは罰せられないが、嫌われる。だから、なんでもかんでも分析してしまう。選手たちに1対1のメニューを求めたが、『1回パスをしないと抜けない』と言われた。あるいは、GKは飛び出していかないからミスがない。サッカーはミスのゲームなんだから、リスクを取らずに出なければ、当然ミスはしないと伝えてきた。しかし、それを理解していない。ある1日や、ある1回の問題ではないんだ」

 そして、おそらく日本代表MF坂元達裕のことを指して「セレッソで2部リーグにいた選手と契約したが、素晴らしいドリブラーで、半年後には代表でプレーしていたんだ」と、そうしたタイプの選手が評価されづらい土壌について触れた。

 ロティーナ氏は歴任した3クラブで全体的に整理されたチームを作ってきた印象も強いが、どこかで殻を破る存在を期待していたのかもしれない。

 いずれにしてもミスを嫌うメンタリティーを「ある1日や、ある1回の問題ではない」と話していることから、サッカー指導者として日本で最も苦労した部分がそこにあったようだ。

(FOOTBALL ZONE編集部)



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