森保監督は「失敗した」 英国人記者、日本のメダル逸を招いた2つの“戦略ミス”を指摘

森保監督は何人かの選手を信頼していなかったのか?

 森保監督は試合前に、選手たちの疲労が試合を分ける要因になると示唆していた。疲労は両チームに同じように影響を与えると信じていた。しかし、それは淡い期待で、試合前の言い訳にすぎなかった。試合開始のホイッスルが鳴った時からメキシコは日本とは別次元のレベルで、勝負にならなかった。

 日本がグループリーグでメキシコをそうしたように、ハイメ・ロサーノ監督のチームは日本を打ち砕いた。激しいプレスを仕掛け、高い位置でボールを奪った。異なっていたのは、メキシコがそれを重要な意味を持つ一戦でやり遂げたということだ。日本が劣っていたことは隠しようがない。日本は立ちすくみ、固まってしまった。

 森保監督の下での低調なパフォーマンスだったという点では、2019年のアジアカップ決勝カタール戦と比較することができるだろう。あの夜、日本はスタートで遅れを取り、劣勢となった。ディフェンスはのろく、中盤は制圧された。メキシコ戦と非常によく似ている。

 森保監督は責任を負わなければならないだろう。疲労を理由にするのだろうが、彼が“ゲームチェンジャー”をベンチに置いていたのは明らかだ。森保監督は頻繁にメンバーの入れ替えをしようとはしなかった。そのことは過密スケジュールと同様に、問題を引き起こす結果となった。変更が行われたのは、怪我や出場停止の選手がいる時だけだった。

 谷晃生、吉田麻也、遠藤航、田中碧、堂安律、久保建英は全試合に先発出場した。酒井宏樹、林大地、中山雄太は5試合に先発した。11人のスタメンのうち、9人はほとんど変わらなかった。冨安健洋も怪我や出場停止がなければ、もっと多く起用されていただろう。

 森保監督は相馬勇紀、旗手怜央、三好康児がローテーションされた左サイドの人選で、最も迷っているように見えた。グループリーグの終了後に苦戦を強いられたのも無理はないだろう。ノックアウトラウンドでは、計5時間半以上もプレーして1ゴール。これだけの才能が集まったチームとしては不十分だった。

 森保監督は何人かの選手を信頼していなかったのだろうか? 彼のメンバー選考がそれを示唆している。フランス戦で実力を発揮した上田綺世は決勝トーナメントに入って以降、スタメンの座を得ることができなかった。ダイナミックさとポジティブなアタッキングセンスを持つ三笘薫も蚊帳の外だった。この2人はメキシコ戦で途中出場し、それが間違いだったことを示した。

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マイケル・チャーチ

アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。

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