「チグハグ」な清水が最下位転落 クラブ史上“最悪のシーズン”回避へ…意地を見せられるか

今季ラストゲームに臨む清水エスパルスの選手たちの奮起に期待がかかる【写真:Getty Images】
今季ラストゲームに臨む清水エスパルスの選手たちの奮起に期待がかかる【写真:Getty Images】

仙台に2-3で敗れて最下位転落、今季の清水を象徴するような試合

 コロナ禍の「特別な2020シーズン」も残り2試合、清水エスパルスは16日のホーム最終戦でベガルタ仙台と対戦した。前節終了時点で清水が勝ち点25の17位、仙台が勝ち点24の18位で、この試合の結果次第で清水が最下位に転落する可能性がある試合となった。

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 Jリーグ創設時からのいわゆる“オリジナル10”の清水は、2015年にJ2へ降格したシーズンでさえ年間17位と、これまで「最下位」でシーズンを終えたことはなかった。ホーム最終戦、14年間の現役生活にピリオドを打つことを決めて引退を発表しているDF吉本一謙の引退セレモニー、そしてすでに6人の選手との来シーズンの契約非更新を発表、その他にも清水を去る選手が何人かいるなかで迎えた試合ということで、メンバー入りした選手たちはいろいろな想いのなか、気合いも気持ちも入っていたはずだったのだが……。

 平岡宏章監督となって11月は3勝1分1敗と月間優秀監督賞も受賞したが、12月はここまで1分1敗と直近3試合では勝利がない。しかし、平日ナイターの底冷えがする気温のなかでも5000人を超えるサポーターは、いまだにホームでは負け知らずの“平岡エスパルス”の4試合ぶりの勝利を期待してスタジアムに駆け付けた。

 試合は前半17分に警戒していたセットプレーからDF蜂須賀孝治にヘッドで押し込まれ仙台に先制されるも、同29分にはポジションを入れ替えた両サイドハーフのMF金子翔太のパスからMF西澤健太が右足を振り抜き同点。しかし、前半終了間際の同45分にクリアボールを拾われ、ゴール正面で寄せ切れずMF松下佳貴にミドルシュートを決められて、1-2で後半へ。

 流れを変えるために後半の頭からMF中村慶太、MF河井陽介、FWジュニオール・ドゥトラを投入。「攻撃を得意とするクオリティーの高い選手」として送り込んだ平岡監督の期待に応えて、後半の立ち上がりからリズムを作りチャンスを演出した。そして、後半22分に河井がペナルティーエリア前で絡み、こぼれ球を中村のキープから左サイドのDFファン・ソッコがクロスを入れ、中央でドゥトラが仙台DF平岡康裕との競り合いを制してヘディングシュートを豪快に突き刺し再び同点とした。

 その後は両チームともヒートアップ。小競り合いもありイエローカードも4枚出される展開となったが、同41分に清水のゴール前でのFKをDF浜崎拓磨に直接決められてしまった。昨シーズンのJ2リーグ柏レイソル戦(第36節)で当時水戸ホーリーホックに在籍していた浜崎は、同じようなFKを決めていたが、壁の作り方やGK大久保択生のポジショニングを見る限り、さすがそこまでのスカウティング情報は入っていなかったのだろう。誰もが「まさか」と思うゴールで三度勝ち越され、同43分には吉本を入れ、DFヴァウドを最前線に上げてパワープレーを仕掛けたが、ゴールを割ることができずにそのまま2-3で終了。清水は最終節を残して最下位に転落した。

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下舘浩久

しもだて・ひろひさ/1964年、静岡市(旧清水市)生まれ。地元一般企業に就職、総務人事部門で勤務後、ウエブサイト「Sの極み」(清水エスパルス応援メディア)創設者の大場健司氏の急逝に伴い、2010年にフリーランスに転身。サイトを引き継ぎ、クラブに密着して選手の生の声を届けている。

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