【W杯詳細分析・日本-コロンビア】データで浮き彫りになるザックジャパンの敗因 「自分たちのサッカー」に縛られた日本とペナルティエリア内で勝負できなかったエース本田

W杯は自分たちのスタイルの発表の場ではない

 これは「Individual=個」のデータではあるが、個を責めているのではない。個が活きるためにはそれ以外の選手のサポートが必要であり、個を活かす戦術が重要なのだ。

 2010年のワールドカップ南アフリカ大会で本田が輝いたのはそのフィジカルの強さと技術の高さが評価され、後方で徹底的に守備をして奪った後の前方でのボールの収めどころという役割がはっきりしていたからだ。当時の日本代表のパスの三分の一が本田経由だったという事実がそれを示している。

 同様に今回のコロンビアも、ロドリゲスという個の才能を活かすための戦術を貫いていた。一方で、ポゼッションという言葉に象徴される「自分たちのサッカー」に縛られ、キープはするがブレークできず相手のゴール前で詰まってしまう状況が続いていたザックジャパンは、残念ながらエースが輝かせることはできなかった。

 4年前、イタリアの名将ザッケローニと共に出航した日本代表の航海は1次リーグ最下位、勝点1という結果を残してブラジルの地を去ることになった。この航海の航路が正しいものだったか、そうでなかったかについては十分な検証をし、評価する必要がある。

 ただ、その検証を待たずして分かったことがひとつだけある。W杯での戦いは自分たちのスタイルの発表の場ではなく、国の威信を背負って戦う場であり、その国の国民に夢を与える場であるということだ。そのことを、この大会の多くの日本代表戦「以外」の試合を見て分かったというのは正直寂しい限りだ。

 そう考えると負けた後の渋谷のスクランブル交差点でハイタッチを交わす青いユニフォーム姿、1次リーグ突破が既定路線かのようなメディアの事前報道、勝利や敗戦について「自分たちのサッカー」の出来具合を理由にする選手のインタビュー……。とてつもなく、たくさんの違和感を覚えた日本のW杯狂想曲だった気がする。

 決勝トーナメントはW杯の第2幕の始まりだ。日本代表の航海は残念ながらここで終了したが、厳しい1次リーグを勝ち抜いた歴戦の勇者たちの戦いを今後もしっかり分析していきたい。

analyzed by ZONE World Cup Analyzing Team
データ提供元:opta

 

【了】

サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web

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