注目すべきは高額移籍金ではない 移籍金ゼロ選手歴代ベスト11

イタリアのマエストロや、ドルトムント香川の元同僚もランクイン

 欧州サッカー連盟(UEFA)は2日、公式サイトで移籍金を必要としないフリーエージェントによる移籍で成功を収めた歴代選手によるベストイレブンを特集している。
 クラブとの契約満了を迎えた選手の獲得には移籍金は発生しない。今夏ではLAギャラクシー加入が決定した元イングランド代表MFスティーブ・ジェラードやアーセナルを退団し、ドイツ2部のザンクトパウリFCに加入した元日本代表FW宮市亮もその例に含まれ、移籍金ゼロで新天地に渡っている。
 そのほかにも、サントスを退団したブラジル代表FWロビーニョやウクライナの新星MFウェブヘン・コノプリャンカ、U-21欧州選手権を初制覇したスウェーデン代表で10番を背負うFWジョングイデッティなどベテランから注目株まで多くの選手がこの夏はフリーエージェントとなっている。
 過去にこうした移籍で成功を収めた選手も多い。世界屈指の司令塔MFアンドレア・ピルロも、2011年にミランを退団し、移籍金ゼロでユベントスへ加入した。セリエA4連覇をはじめ、今季の欧州チャンピオンズリーグ準優勝など、その後の活躍は言わずもがなで、ユベントスにとっては最高の補強と言えるだろう。
 そのほか、当時銀河系軍団と呼ばれたレアル・マドリードで居場所がなく、インテルに活躍の場を移したエステバン・カンビアッソ(現レスター)も成功者のひとり。元アルゼンチン代表MFは2010年にインテルで3冠達成を経験した。同じロンドン内のライバル、トットナムからアーセナルへ加入した元イングランド代表DFソル・キャンベルはアーセナルの無敗優勝に貢献。レアルでCLを2度制覇したMFスティーブ・マクマナマンも2000年にリバプールを退団し、フリーでスペインへと渡っている。
 UEFA.comによる移籍金ゼロ選手によるベストイレブンは以下。
 GK ブラッド・フリーデル(2011年 アストン・ビラからトットナム)
 DF マルクス・バッベル(2000年 バイエルン・ミュンヘンからリバプール)
 DF ソル・キャンベル(2001年 トットナムからアーセナル)
 MF エステバン・カンビアッソ(2004年 レアル・マドリードからインテル)
 MF ギャリー・マカリスター(2000年 コベントリーからリバプール)
 MF ミヒャエル・バラック(2006年 バイエルンからチェルシー)
 MF アンドレア・ピルロ(2011年 ミランからユベントス)
 MF スティーブ・マクマナマン(1999年 リバプールからレアル)
 FW ロベルト・レバンドフスキ(2014年 ドルトムントからバイエルン)
 FW ミロスラフ・クローゼ (2011年 バイエルンからラツィオ)
 FW ヘンリク・ラーション(2004年 セルティックからバルセロナ)
 今夏、各国ビッククラブが高額な移籍金を支払っての選手補強も敢行している。リバプールはブラジル代表FWロベルト・フィルミーノに4000万ユーロ(約55億円)を支払復権を目指すインテルはフランス代表MFジョフレイ・コンドグビアに3000万ユーロ(約42億円)と大枚を叩いた。イタリア王者ユベントスも21歳のアルゼンチン人FWパウロ・ディバラに3200万ユーロ(約44億円)を投資した。
 テレビ放映権料の拡大で潤うプレミアリーグを中心に、ヨーロッパ市場における選手の移籍金は高騰を続けている。しかし、高額な移籍金は必ずしも成功を保証するわけではない。実際に現役時代にフランス代表の「将軍」と呼ばれたUEFAのミシェル・プラティニ会長自身、出身クラブのユベントスがフランス代表MFポール・ポグバの移籍金を1億ユーロ(140億円)と設定時に、「1億ユーロに値する選手は誰もいない。金は金で、あれば費やすものなのだろうが。私はいくらだったか? 何もない。私は契約期間満了で移籍したのだからね」と説明。スーパースターだった自身は移籍金ゼロの移籍だったことを振り返っているが、プラティニ会長はランク外となっている。
 大きな話題となる巨額移籍金を伴う大型移籍のみならず、費用対効果抜群のゼロ円移籍選手の動向に注目するのも、面白いかもしれない。
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