なぜ賛否両論? ”青森山田スタイル”は国民的コンテンツの醍醐味 高校サッカーの「健全な姿」「清々しい姿」とは何か

第100回全国高校サッカー選手権を制した青森山田【写真:小林 靖】
第100回全国高校サッカー選手権を制した青森山田【写真:小林 靖】

【識者コラム】高校サッカー選手権優勝の青森山田、勝利のために最大限のことをやった

 結論から言ってしまえば青森山田(青森)に問題はない。ルールの中で勝利のために最大限のことをやる。もし彼らがルールに反する行為を繰り返していたら、すでに退場者が続出して決勝までも辿り着けていないだろう。

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 その一方で高校サッカー、とりわけ選手権に一般のファンが求める健全さ、清々しさと言った基準から見たら、青森山田の戦いぶりに違和感を覚えても不思議ではない。高校サッカーは育成年代でありながら、プロとアマチュアの間ぐらいに位置している。ただ、そのなかでクラブユースやこの年代のリーグ戦の最高峰であるプレミアリーグに比べるとアマチュア寄りになる。

 アマチュアという言い方をすると一部で語弊があるかもしれないが、要はサッカーで何を目指して行くのかということ。プレミアリーグを舞台に戦っているようなチームはクラブユースであれ、高体連であれプロを夢というより現実的な目標にしており、実際に大学経由を含めれば相当数の選手がその目標を叶え、そこから厳しい世界に身を置いて挑戦していく。

 青森山田は高校王者でありながら、そうした猛者ばかりが集まるプレミアリーグのチャンピオンだ。技術的に見れば2位の清水エスパルスユースや3位の横浜F・マリノスユースのほうが高いかもしれない。しかし、そうした相手と切磋琢磨するなかでセットプレーの強さも含む近年の“山田スタイル”は育まれてきた。その基準をもっぱら高体連の大会である選手権でも変えないのが黒田剛監督のポリシーでもあるようだ。

 日頃から日本のサッカーに触れているファンならば、この年代の最高峰は選手権ではなくプレミアリーグであることは周知の事実だ。準々決勝でPK戦負けしたが、そこまでの快進撃で話題を集めた静岡学園は1つカテゴリーが下のプリンスリーグ東海で優勝し、入れ替え戦で来季のプレミアリーグ入りを果たした。

 ジュビロ磐田の新体制発表の後、静岡学園のエース格である古川陽介に聞くと「プレミア昇格というのがこの年代の目標でした」と語っている。実際に昨年のプレミアリーグで高体連から参加していたのはEASTで青森山田、流通経済大柏、市立船橋の3校。WESTは選手権の決勝で青森山田と戦った大津、そして東福岡だった。

 言い方を変えればプレミアリーグ20チームのうち、15チームはJリーグクラブの下部組織、いわゆるJユースのチームだ。高体連のチームもトップトップであれば例外なく目指す場所だが、かなり狭き門である。そういう世界でJユースをも制して頂点に君臨するのが青森山田というチームなのだ。

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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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