三重3年のエースFW、円陣でまさかの“三点倒立”… 会場がどよめいた意図あるルーティーンの裏話【高校サッカー秘話】

三重の2選手が芝生のピッチの上に頭をつけて三点倒立(※写真は集合)【写真提供:オフィシャルサポート】
三重の2選手が芝生のピッチの上に頭をつけて三点倒立(※写真は集合)【写真提供:オフィシャルサポート】

エースストライカーFW吉良元希、円陣で思わぬ行動に

 選手権初戦・西武台対三重の一戦。試合前、両チームの円陣でスタンドは少しどよめいた。キックオフ前に選手が全員で円陣を作って、掛け声などで気持ちを1つにする恒例行事が行われたなか、三重の2選手が芝生のピッチの上に頭をつけて三点倒立をしていたのだ。

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 その選手はチームのエースストライカーFW吉良元希(3年)と左サイドバックのDF黒田響平(3年)。黒田が早く倒立を終えたのを尻目に、吉良は三点倒立を続け、下半身を捻らせたり、脚を広げるなどをしたことで、さらにスタンドはどよめいた。

「三点倒立は自分の体幹トレーニングの一環としてやっていて、日々のルーティーンでやっています。あれをやると心も落ち着くので、試合前にやるようにしています。角谷は多分僕を真似しているだけだと思います(笑)」と吉良が語ったように、決して目立つことが理由ではなく、きちんと意図を持った行為だった。

 この試合、西武台の多彩なボール回しと個の仕掛けの前に防戦一方に回った。しかし、開始早々の9分にカウンターからMF北岡勇輝(3年)のクロスをDF大地山開(3年)が豪快なヘッドを突き刺して先制すると、チームは身体を張ったディフェンスで相手の猛攻を耐えた。そのなかで最前線の吉良はカウンターを常に狙い続け、かつ前線から相手に喰らいつく守備でチームに貢献し続けた。

 試合は先制点を最後まで守り切り、三重が1-0の勝利。実に16本のシュートを浴びながらも、1度もゴールは割らせず、2回目の出場で待望の選手権初勝利を手にした。

 今年の三重は吉良を中心に全員攻撃、全員守備ができるチーム。今年のインターハイでは1回戦をPK戦でものにすると、2回戦の実践学園戦では吉良の決勝ゴールで1-0の勝利。3回戦で東山に1-2で破れたが、この1点も吉良が決め、チームの過去最高成績となるベスト16という結果を残した。

 そして迎えた選手権予選では、1年を通じて吉良が体幹を強くし、183センチの高さがより生きるようになったことと、ポストプレーやターンに磨きをかけたことで、ゴールハンターとしての才能が開花。予選5試合で準々決勝のいなべ総合学園戦以外では全試合ゴールを叩き出し、4年ぶり2度目の出場の立役者となった。

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