森保ジャパンは「タレントの無駄遣い」 英記者、中国戦の“冒険心なき”采配を疑問視

森保一監督の采配に疑問の声も【写真:ⓒJFA】
森保一監督の采配に疑問の声も【写真:ⓒJFA】

前半で中国を圧倒しながら、強さを誇示できなかった日本のパフォーマンスを酷評

 森保一監督率いる日本代表は、7日にドーハで行われたカタール・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選第2節の中国代表戦に1-0で勝利した。23年間、負けたことのない中国から今予選初勝利を挙げて、勝ち点3を掴んだ日本。しかし、かつてアジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ(W杯)を6大会連続で取材した英国人記者のマイケル・チャーチ氏は、「とてもではないが、これは同じグループ内のライバルたちが、日本に恐れを抱くようなパフォーマンスではなかった」と、中国戦の試合内容に疑問を呈している。

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 森保一監督は、深い安堵のため息をついたに違いない。カタールW杯アジア最終予選で、日本は月並みな中国をわずかに上回り、グループBの戦いで最初の勝ち点3を獲得した。

 中国戦に先発出場したMF久保建英は、初戦のオマーン戦(0-1)で森保監督が犯した過ちを明確にした。わずか1ゴールしか挙げられずに中国に勝利した日本だが、彼の創造性と視野は、ギリギリの勝利と感じさせないものにまで日本の攻撃のレベルを向上させた。

 日本が最後に中国に負けたのは、23年前のこと。そして両チームの力の差は、最初の45分間だけで明らかとなっていた。大阪(オマーン戦)での悲惨なパフォーマンスの後、いくつかのゴールを挙げて、得失点差を取り戻すとともに、自信を高める絶好の機会だった。

 ところが完全に試合を支配していた日本は、前半終了間際にFW大迫勇也が見事な先制点を決めると、そこから緩んでしまう。チームはバラバラになり、中国に同点に追いつけそうなチャンスも与えた。結果的にそうならなかったのは、単にリー・ティエ監督の率いたチームが、十分なクオリティーを備えていなかったからに過ぎない。

 たった一つのゴールだけで勝てばいいという森保監督の狙いは、日本にダメージを与えることになる。冷酷さを見せて決定力を示し、圧倒的な力の差を誇示する必要があった。中国戦は、その絶好の機会だったが生かされなかった。

 今回の中国はチームで最高のDFであるチャン・リンポンを開始6分で負傷によって欠くこととなった。そして、前半の彼らのボール支配率はわずか23%。そんな状況にもかかわらず、勝利した日本が挙げたのはわずか1得点だ。

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マイケル・チャーチ

アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。

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