久保の苦心する姿に「逆に凄さを感じた」 U-24代表で「輝いた3人」を金田喜稔が選出

ドリブルで果敢に攻めるU-24代表MF久保建英【写真:Getty Images】
ドリブルで果敢に攻めるU-24代表MF久保建英【写真:Getty Images】

異例の“兄弟対決”に完敗も…U-24代表で「インパクトを残した3人」とは?

 U-24日本代表は3日、札幌ドームで開催された日本代表とのチャリティーマッチに臨み0-3で完敗した。A代表と当初対戦する予定だったジャマイカ代表の来日に際したトラブルにより急遽“兄弟対決”が実現したが、U-24代表は中1日で5日にU-24ガーナ代表との国際親善試合を控えていたこともあり、オーバーエイジ(OA)の3人が揃ってベンチスタートになるなど、テスト色の濃い陣容となった。
 
 試合は開始2分、セットプレーからA代表のMF橋本拳人(ロストフ)にいきなり先制点を叩き込まれて失点。さらに同41分にはMF鎌田大地(フランクフルト)に2点目、そして後半7分にも途中出場のFW浅野拓磨(無所属)に決められ0-3で完敗した。実力差を見せつけられる結果となったが、今回の異例の“兄弟対決”を識者はどのように見たのか。「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏が、完敗を喫したU-24代表で「インパクトを残した3人」を選出した。

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「負けられないプレッシャーがあったのは挑戦を受ける側のA代表、逆に言えばU-24代表は思い切ったプレーをしてミスをしてもいい立場だった」なかで、U-24代表にとっては東京五輪のメンバー入りに向けた最終選考の第1ラウンドとなったが、金田氏は「個々のアピールという部分では物足りない。結果を二の次にしたテスト的な意味合いが強いメンバー構成だったため、やりにくさがあったのかもしれないが、もっとA代表相手に積極的な姿勢を見せてほしかった」と、全体的に物足りないパフォーマンスだったと振り返る。

 そうしたなかでも「インパクトを残した3人」として真っ先に名前を挙げたのが、「仕掛けている選手がほとんどいないなかで、果敢に勝負をしていた」と称えたMF久保建英(ヘタフェ)だ。試合翌日の4日に20歳の誕生日を迎え、今回の“兄弟対決”が10代最後の試合となったが、今季リーガ・エスパニョーラでビジャレアル、ヘタフェで思うようにチャンスを生かせず、通算31試合1得点に終わったレフティーの現状について、金田氏は次のように切り出した。

「今シーズンの久保はチームで思うように出られず、日本代表に合流した時もあまり出場時間を与えてもらえず、チャンスを得ても決定的なシーンを作れないというもどかしい試合が続いた。ずっと最年少記録が求められるなど、世間の期待が高すぎたが故に、今は評価が下がりやすくなっている時期だと思う。そうした状況を久保自身が最も肌で感じているなかで、それでも彼は逃げない。どんな状況であっても果敢に立ち向かっていく、そうした姿勢に僕は逆に凄さを感じている」

 この日の試合でも久保がボールを持つと、A代表の選手が激しくチェックに行くなど、U-24代表の攻撃陣で最も警戒される1人だった。金田氏は固定したメンバーでの活動が少ないU-24代表では、まだコンビネーションが確立されておらず、「久保の頭の中にはおそらく、このタイミングで動いてほしい、このコースに入ってほしいという周りの選手に対する思いはたくさんあったと思う」としたうえで、「ジレンマを抱えながらも歯を食いしばって、全然投げ出さない。これから周囲の選手とのコンビネーションが構築され、堂安(律/ビーレフェルト)らとの波長がより合ってくれば、攻撃の選択肢、タイミング、精度は上がっていく気がしている」と、東京五輪に向かうチームのキーマンの1人として期待していた。

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