「僕の人生の大きな転機」 仙台、熊本の被災地を訪れた横浜FC六反勇治の変化【#あれから私は】

2015年に仙台に移籍し被災の傷跡を目の当たりにしたGK六反勇治【写真:Getty Images】
2015年に仙台に移籍し被災の傷跡を目の当たりにしたGK六反勇治【写真:Getty Images】

六反勇治がベガルタ仙台移籍で知った被災地の現状

 東日本大震災から節目の10年を迎えた。現在、横浜FCに所属するGK六反勇治は2015年に宮城・仙台を本拠地とするベガルタ仙台に移籍し、被災の傷跡を目の当たりにした。翌16年には“第二の故郷”熊本も被災。この2つの震災にまつわる体験は六反の価値観を大きく変化させるターニングポイントとなったという。(取材・文=石川 遼)

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 鹿児島県出身の六反は熊本国府高校を卒業し、2006年にアビスパ福岡に加入。九州の地で生まれ育っただけに、2011年3月11日に発生した東日本大震災はまるで異国の地で起きた、自分とは縁遠い出来事のように感じていたという。

「最初にニュースを見た時はどこか海外の映像なんじゃないかなっていうふうに感じたのを覚えています。日本は地震の多い国ですけど、あれほどのことが起きたのはショッキングでした」

 そして、あの3.11から4年の月日が流れた2015年、六反はベガルタ仙台へ移籍した。2012年から14年に所属していた横浜F・マリノス時代にチームで東日本大震災の被災地を訪問する機会はあったが、まだどこか震災は他人事のように感じていたという。そのなかで仙台を本拠地とするクラブに行ったことで、あらためて向き合う必要性を感じた。当時の心境について「復興がここまで進んでいないんだなということが何よりも驚きでした」と振り返る。

「ベガルタ仙台に移籍して、最初のシーズン開幕前にチームで被災地を訪問しました。僕が仙台に行った時はもう地上波のテレビなどでもあまり現地の様子は取り上げられなくなっていて、特に九州出身の僕からすれば少し忘れかけていたような時期でもありました。でも、実際に被災地へ行ってみると、とても復興しているとは言えない状況でした。

 ただ瓦礫をどかしてあるだけの場所、窓が割れてカーテンがひらひらとしているような建物がまだあちこちにありました。ここに暮らしていた人たちの生活は、本当に長い年月がかかって戻っていくんだなということをそこで実感しました。こういう言い方が正しいのかは分からないんですけど、そういった光景を目の当たりにしたことは、僕の人生の中でも大きな転機になりました」

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