「10番」なきイタリア代表の現実 カルチョの国からファンタジスタは失われたのか

スペイン、ドイツとの親善試合に挑むメンバーリストにいなかった「10番」

 カルチョの国からファンタジスタは失われてしまったのか――。イタリア代表はこのインターナショナルマッチウィークを利用して、25日にスペイン代表、30日にドイツ代表と親善試合を行う。6月の欧州選手権に向けて、優勝候補である2チームと行うこのゲームは、本番に向けても重要なものであると位置づけられている。しかし、イタリアサッカー連盟が発表したメンバーには、エースの象徴である「10番」を身につける選手がいなかったのだ。

 イタリアのサッカー情報サイト「カルチョメルカート・コム」も、このメンバーリストに対して「誰も10番を欲しがらない。イタリアのタレントは枯渇している」と報じている。

 アッズーリ(イタリア代表の愛称、イタリア語で青の意味)の10番は、ファンタジスタの歴史でもあった。古くはジャンニ・リベラやジャンカルロ・アントニョーニといった名手がつけ、近代サッカーと呼ばれる1990年代に入ってからも、ロベルト・バッジオやアレッサンドロ・デルピエロなど、その時代のスターでありセリエAを代表する選手がその番号を背負ってきた。

 しばしば、その番号をめぐっては政治的な話題になってきた。94年のアメリカワールドカップでは、GKと10番以外はDFから順に若い番号をつけた。そのため、攻撃陣はほとんどが20番台の大きな番号だった。この時は、バッジオがエースナンバーを背負い、チームを決勝にまで導いた。

 

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