浦和、得点力不足をどう解決する? FW興梠の“変化”「なるべくラストパスのチャンスを…」

浦和レッズFW興梠慎三【写真:Getty Images】
浦和レッズFW興梠慎三【写真:Getty Images】

鳥栖戦では興梠が下がり過ぎずにプレーし、こぼれ球に詰めて同点弾を記録

 浦和レッズのFW興梠慎三は、9日のJ1第15節サガン鳥栖戦でJ1通算150ゴールを達成した。その試合後、興梠は「なるべくラストパスのチャンスを狙おう」という考えでプレーしていたことを明かしている。そこには、ここ数試合で苦悩したプレーとの兼ね合いがあった。

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 興梠は7月26日の横浜FC戦で試合中に腰を痛めて負傷交代。その後、離脱期間を経て8月23日のヴィッセル神戸戦の途中出場で復帰し、29日の大分トリニータ戦、5日のセレッソ大阪戦ではスタメン出場だった。

 その復帰後の興梠のプレーを見れば、際立ったのはチームの攻撃を機能させるために自陣まで下がるプレーだった。2012年から8年連続二桁ゴールを記録しているストライカーが、いかに万能型の選手とはいえ自陣のペナルティーエリアすぐ外でボールを受ける、センターサークル近くでボールを捌いてサイドに展開するというプレーが目立った。それは浦和の攻撃を機能させる力になったが、彼の本領を発揮させるものだったのかといえば大きな疑問符が付くだろう。

 興梠自身も「ここ最近の試合で、自分が後ろに下がることが多いなと自分でも思っていました。でも、そうしないと組み立てが上手くいかないなと思っていましたからね」と、チーム状況を話した。結果的に2トップの一角である興梠がビルドアップを助け、もう1人のFWであるレオナルドがゴール前に構えるとなると、相手ゴール前における攻撃の厚みを期待するのは難しいだろう。

 一方でこの試合では、横浜FC戦でスタメン出場して以来の試合メンバー入りとなったMF柏木陽介がスタメン出場していた。興梠は「陽介が入ったらラストパスが出せますので、前に残りたい気持ちはありましたね。そういう意味では陽介が入ったときには下がりすぎずに、なるべくラストパスのチャンスを狙おうかなと。常に今日の試合中は考えていましたね」と語っている。

 その意識の違いが、後半3分にMF関根貴大が放ったミドルのこぼれ球に詰めて0-1から1-1の同点ゴールを奪ったことにつながったのではないだろうか。結果的に試合は2-2で引き分けたが、興梠は前半にも決定機を一度迎えていた。最終ライン近くまで降りてボールをつなぐ興梠と、ゴール前で勝負してくる興梠のどちらが相手にとって脅威なのかは後者だろう。

 興梠は「やっぱりFWが決めないと試合に勝てないなと思いますからね。チームのために点を取ることが大切だと思いますし、チームに貢献できるような点を取っていきたい」と話す。浦和は15試合で20得点だが、消化試合数にバラつきがあるとはいえ20点未満のチームは6チーム。得点力が課題なのは明白だろう。

 ストライカーがゴールを決めることが勝利につながるのであれば、いかにして彼らがゴール前で勝負できる状況を作るのか。浦和の課題を解決する鍵は、興梠が自陣でプレーする必要性をどれだけ削ることができるかにあるのではないだろうか。

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