長野L三谷沙也加が笑顔を忘れないワケ 初ゴールに隠された“両親の涙”で甦った喜び

AC長野パルセイロ・レディース所属3年目のMF三谷沙也加【写真:©2008 PARCEIRO】
AC長野パルセイロ・レディース所属3年目のMF三谷沙也加【写真:©2008 PARCEIRO】

【インタビュー後編】2019年のINAC戦で待望のリーグ戦初ゴールも黒星で喜び半分

 なでしこリーグ(日本女子サッカーリーグ)2部で再出発したAC長野パルセイロ・レディースで、自分の殻を破ろうとしている選手がいる。所属3年目のMF三谷沙也加だ。高校時代に将来を嘱望された逸材は、怪我と戦いながら苦難のキャリアを送ってきた。後編は2018年の長野での再出発から現在まで。主力となり、選手会長も務める彼女が掲げる理想のプレーヤー像とは――。

 2018年1月、三谷は4年間を過ごした浦和レッズレディースから長野Lへの移籍を決断した。きっかけの一つとなったのは、地元・岡山県に拠点を置く岡山湯郷Belle(現チャレンジリーグ所属)で2001~11年まで指揮を執っていた本田美登里監督の存在だった。

「小さい頃から本田監督にはお世話になっていて、本田監督の下で一から頑張りたいと思ったのがパルセイロに移籍してきた理由です」

 三谷は当時の新加入会見でこのように語っている。浦和L時代はサイドバックなど最終ラインの一角でプレーしていたなか、移籍を機に得意のドリブルがより生きる攻撃的なポジションに戻った。「(本田)美登里さんに救われました」と振り返る三谷だが、加入1年目はリーグ戦出場1試合とベンチを温める日々が続き、リーグカップでも4試合でノーゴールと悔しい結果に終わった。

INAC神戸レオネッサ戦で待望のリーグ戦初ゴールをマーク【写真:©2008 PARCEIRO】
INAC神戸レオネッサ戦で待望のリーグ戦初ゴールをマーク【写真:©2008 PARCEIRO】

 背番号が「20」から「11」に代わって迎えた2019年も、ポジション争いで遅れを取ったリーグ前半戦は2試合で合計3分間のプレーのみ。しかし、1部第10節アルビレックス新潟レディース戦からレギュラーの座を奪うと、8試合連続でスタメン出場を果たした。第14節INAC神戸レオネッサ戦では、相手のミスを見逃さずにバックパスをかっさらって待望のリーグ戦初ゴールをマーク。もっとも、得点の瞬間こそ「嬉しすぎて(頭の中が)真っ白だった」という三谷だが、試合には1-2と逆転負けを喫して喜びは半減してしまった。

「(自分が決めた)先制点が開始3分と早くて、言ったら相手は最初からエンジンをかけないといけない状態になりました。そこから苦しい展開を強いられて、結局試合も逆転負けだったので、自分が(もっとゴールを)取って勝ちにしたかった。『もう1点取っておけば……』と、素直に喜べないもどかしさがありました」

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