「ミスター・トリニータ」の歴史的ヘディング弾! 高松大樹、大分を初戴冠に導く一撃

長年、大分トリニータでプレーした高松大樹【写真:Getty Images】
長年、大分トリニータでプレーした高松大樹【写真:Getty Images】

【J番記者が選ぶスーパーゴール|大分編】2008年ナビスコカップ決勝清水戦(後半23分)…高松大樹が「歴史を作った」ヘディング弾

 今も色褪せないゴールがある。ユニフォームのエンブレムの上に燦然と輝くひとつ星をもたらした2008年ヤマザキナビスコカップ(現YBCルヴァンカップ)の決勝・清水エスパルス戦。クラブのJ1初タイトルを呼び込んだ先制ゴールは、今も多くの人々の脳裏に焼き付いて離れない。

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 下馬評では勢いのあった清水が有利と言われていたが、決勝進出が決まった次の日から、ありったけの情報とデータを集め、徹底的に分析した大分トリニータのシャムスカ監督は、試合前のミーティングで「サイドを突いていこう」と指示を出した。我慢比べに痺れを切らし、相手が攻撃にきたときこそチャンスと指揮官は考えていた。

 それが実現したのが68分。清水の攻撃を凌ぎ、攻撃に転じた。サイドチェンジから右サイドを駆け上がった金崎夢生につながる。ファーサイドのクロスを高い打点で合わせたのが高松大樹だった。「あのゴールは格別。九州で優勝したチームはなかったし、地方クラブでもタイトルを獲れることを証明できた。夢や希望を与えることができたし、トリニータの歴史を作った自負はある」と述懐する。

 大分トリニータで16年間プレーした「ミスター・トリニータ」と呼ばれた男の一撃は、クラブの輝かしい歴史を刻んだ劇的な得点だった。この得点をお膳立てしたのは金崎だったが、演出したのはシャムスカ監督だった。

 このシーズンの高松は度重なる両足首の負傷でほとんど試合に出られず、ゴールはナビスコカップ予選での1点のみ。それでもアテネ五輪で活躍し、キャプテンとしてチームを引っ張った高松を先発起用する。「森島(康仁)も調子が良く迷ったが、決勝では経験が重要になる。大樹ならやってくれると信じていた」と送り出せば、燃えないわけがない。戦術家であり、稀代のモチベーターと呼ばれた指揮官の「シャムスカ・マジック」の真骨頂だった。

柚野真也

1974年生まれ、大分市出身。プロ、アマ問わず、あらゆるスポーツを幅広く取材。現在は『オーエス大分スポーツ(https://os-oita.com)』で編集長を務める傍ら、新聞や雑誌、ウェブなど各媒体で執筆する。一般社団法人日本スポーツプレス所属。

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