INACがコロナ禍で活動休止の先陣を切れたワケ 安本社長が明かす“2人のキーマン”

INAC神戸レオネッサの安本卓史社長
INAC神戸レオネッサの安本卓史社長

川澄奈穂美と楽天・三木谷会長の助言により、女子サッカー界で一番に活動を休止

 なでしこリーグ(日本女子サッカーリーグ)は、新型コロナウイルスの影響で3月21日に予定していた開幕戦が延期となり、現在は早くても7月スタートという不透明な状況が続いている。1部・2部・チャレンジリーグを含めた所属全32クラブに対して5月末までチーム活動の自粛要請が出されているなか、インターネット通販大手・楽天出身で、J1ヴィッセル神戸の経営にも携わった実績を持つ、INAC神戸レオネッサの安本卓史社長を直撃した。

 INACは4月4日、女子サッカー界ではどこよりも早くトップチームの活動休止を発表した。日本政府から7都府県に緊急事態宣言が出されたのは7日(その後、16日に対象を全国に拡大)、リーグが所属全32クラブへ活動自粛を要請したのは9日だ。新型コロナウイルス感染のリスクがある一方で、練習を中止すれば調整にも影響が出る。そのなかで、なぜいち早く決断できたのか。安本社長は2人のキーマンがいたことを明かす。それが、かつてINACに所属したFW川澄奈穂美(現スカイ・ブルーFC)と、楽天の三木谷浩史会長だ。

「私たちが活動休止を決断できたのには背景があります。川澄さんとはよくLINEをしていて、アメリカの状況がどうかを訊いたりしていました。緊急事態宣言が出る前から、彼女はなぜ日本は止めないんですかと言っていました。アメリカは大変なことになっていて、日本も数週間後には同じ状況が起こる可能性があるから、『INACが率先して活動を止める勇気を持ってほしい』と。その時点では、クラブの中には(感染者が出ていないし)まだ練習を続けてもいいんじゃないかという意見もあったし、選手たちも練習は続けたいと考えていましたが、今は立ち止まる時だと考え直すアドバイスをもらいました。

 もう一人は楽天の三木谷さんです。相談というかどう思うか聞いたところ、止めるべきだという答えでした。海外の情報を多く持っている三木谷さんも、海外と同じ状況になる可能性があるから速やかに決断したほうがいいと。だからその日、活動休止を発表しました。なでしこリーグにも休止の旨は報告しました」

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