「黙ってろ」 マラドーナ、伝説の“神の手”ゴールの舞台裏を激白「あとで教えるから…」

イングランド戦時のアルゼンチン代表FWマラドーナ【写真:Getty Images】
イングランド戦時のアルゼンチン代表FWマラドーナ【写真:Getty Images】

1986年W杯イングランド戦で物議を醸したシーンをマラドーナ本人が回顧

 アルゼンチンのレジェンドであり、サッカー界における“永遠の問題児”でもあるディエゴ・マラドーナ氏が、同国サッカー協会のインタビューにおいて1986年メキシコ・ワールドカップ(W杯)での優勝を振り返っている。そして、今でも語り継がれる「神の手ゴール」の裏側を語った。スペイン紙「ムンド・デポルティーボ」や英紙「ザ・サン」などが報じている。

 マラドーナ氏はアルゼンチンサッカー協会公式動画「AFA Play」のインタビューで、優勝した当時のチームの最初の印象について「平凡なチームがそこにあった」と語る。一方で「顔を見合わせ、言いたいことを言い合える関係だった」としたうえで、「メキシコ入りしてからチームは着実に強さを増した」と振り返った。

 そして準々決勝のイングランド戦(2-1)で、マラドーナは伝説的なゴールを二つ決める。一つはドリブルによる5人抜きゴール。これは純粋なサッカー選手としての能力の高さを、世界中に知らしめたものだ。一方で、物議を醸したのがクロスボールを手で押し込んだ「神の手」と呼ばれるゴールだ。この時の状況を、当の本人はこう振り返っている。

「クロスボールが高すぎたことで、『これは届かない。もっと落ちて来てくれ』と願った。その時、アイデアが浮かんだんだ。『手と頭を使おう』ということだね。倒れ込んだ時、ボールがどこにいったかは分からなかった。ただ、それをネットの中に見つけた時、『ゴール! ゴールだ!』と叫んだよ。そうしたらセルヒオ・バティスタが、手で押し込んだのか聞いてきたから、『黙ってろ、そしてハグをしろ』と伝えたんだ。そして、みんなが抱きつき始めたよ」

 マラドーナ氏は、主審や副審が確証を持っていないことを察して、チーム全員で普通のゴールが決まったかのように喜ぶところまでの“演技指導”を、バティスタにしたことなど、その裏側を語った。

 そしてホルヘ・バルダーノもまた「手で押し込んだのか?」と質問してきたのだという。それに対しても「あとで教えるから、この状況を壊すな」と伝えたと明かす。

 現在のVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)が導入されたW杯では、間違いなく取り消しとなり、意図的に手を使ったマラドーナにはイエローカードが提示されるだろう。しかし、迷うことなく“マリーシア”を決断したこのプレーは、良くも悪くもサッカー史から消えない伝説となっている。

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