中島翔哉や南野拓実が世界に飛躍した背景 恩師が明かした“奇想天外な指導法”とは?

リバプールに加入した南野拓実(左)とFCポルトの中島翔哉【写真:Getty Images&高橋学】
リバプールに加入した南野拓実(左)とFCポルトの中島翔哉【写真:Getty Images&高橋学】

元U-17日本代表コーチの菊原氏が振り返る、中島や南野らを団結させた“秘策”

 今夏ポルトに移籍した中島翔哉、今冬にリバプールに加入した南野拓実は、ともに日本代表を牽引するアタッカーにまで上り詰めたが、若き日にどのような指導を受けてきたのだろうか。両者を指導した経験を持つ元日本代表MF菊原志郎氏は、U-17日本代表時代に中島や南野らに対して行った“奇想天外な指導法”について振り返っている。

 中島と南野は年代別代表での活躍を経て、A代表で背番号「10」と「9」を背負うまでに成長した。両者はU-17日本代表の主力として、2011年にメキシコで開催されたU-17ワールドカップ(W杯)ベスト8進出の立役者となった。FW鈴木武蔵(北海道コンサドーレ札幌)やDF植田直通(セルクル・ブルージュ)、DF室屋成(FC東京)などA代表で活躍する面々もメンバーの一員だったが、当時のチームのコーチを務めていた菊原氏は、才能溢れる「お山の大将軍団」を一致団結させるうえで、“ある秘策”を行ったことを振り返っている。

「映画感想のディスカッションを設けました。サッカー協会からしたら、なんで代表選手を学校を休ませて集めているのに映画観てディスカッションしているんだ、練習しろってなるんだけれども、僕と吉武(博文/当時のU-17日本代表監督)さんは、そういうものが将来日本代表になる選手にとって必ず役に立つと確信していた。毎回、1本映画を観て、一緒にディスカッションして、いろんな意見をシェアする」

 練習時間を割いてでも、U-17日本代表メンバーに「映画の感想会」を徹底した効果はどこにあったのだろうか。菊原氏とともに書籍を出版した仲山進也氏は、内面的な壁を取り払う「心理的安全性」を高めることで、サッカーにおける実力差のヒエラルキーを意識させず、自らの意見を言いやすくする環境作りに最適であったと主張している。

「サッカーをやっている人間がサッカーについて議論すると、上手い人の声がどうしても大きくなる。下手な人は黙っていろという空気になりがち。でも映画の話であれば、サッカーの上手い下手は関係ない。面白い考え方をする人なんだなと、そこで思えるようになることを繰り返していけば、自然とサッカーでも意見が通るようになるんですね。これは、一般企業のビジネスに関しても同じことが言えます」

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