時代を彩ったバルサの8と6の物語 シャビとイニエスタに訪れた最高の結末

ベルリンの地で迎えた最終話

 その時は、2014-15シーズンのチャンピオンズリーグ決勝ユベントス対バルセロナ戦で、2-1とスペイン王者が1点リードで迎えた78分に訪れた。

  選手交代を告げるボードに「8」と「6」という2つの数字が並ぶ。それを確認したバルサの背番号「8」はトルコ人主審のジュネイト・チャキルにねぎらいの声を掛ける。そして、ゆっくりとピッチ脇へと向かって歩き出した。その視線の先には、見慣れた姿があった。左腕に巻かれていた腕章を外すと、それを背番号 「6」を背負う偉大な先輩へ託した。自らは静かに、ベンチへと下がっていく。この時、交わした会話はわずかのようにも見えたが、2人の脳裏にはさまざまな言葉や、思いが過ぎったことだろう。

 シャビ・エルナンデスとアンドレス・イニエスタ――。二人の天才はいつも隣で、一番近いところで ボールを蹴っていた。だが、この大一番で同じピッチに立つことはなかった。バルセロナの象徴とも言える2人がチキタカと紡いできた物語は、このベルリ ンの地で最終話を迎えた。

 2002年、すでにトップチームでプレーしていたシャビの背中を追うようにして、イニエスタは19歳でトップデビューを果たした。そこから2人は、13年間を共に過ごしてきた。バルセロナは2000年代初頭に一時低迷したが、イニエスタが出番を増やし始めた 2004-05シーズンに6年ぶりのリーグ優勝を果たす。

 その後、10年間で7度のリーグ制覇と、4度のCL制覇を成し遂げるなど、ヨーロッパの頂点に君臨し続けてきた。二人が奏でる小刻みな時計仕掛けのパスワークは、ピッチを彩り、多くの栄冠をもたらした。

 シャビとイニエスタは、欧州選手権(2008年、2012年)とW杯(2010年)というメジャータイトル3連覇のスペイン代表でも中心選手として活躍した。まさに、現代のサッカーシーンを象徴するコンビとなった。

 

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