過去3大会のW杯予選にない緊迫感 豪州戦は「ジョホールバル以来の一大決戦」

日本代表を追うライター・戸塚氏が見届けてきた「W杯出場決定の瞬間」

 本当に久しぶりに、ヒリヒリとした一戦になる。

 ワクワクするような、それでいてドキドキもするシチュエーションは、少なくとも過去3大会のワールドカップ(W杯)アジア最終予選では味わっていないものである。

 イラン、バーレーン、北朝鮮と戦った2006年ドイツ大会の最終予選は、実質的にイランとの一騎打ちだった。05年6月、中立地バンコクで予選突破が決まるシチュエーションは特別だったが、対戦相手の北朝鮮にとっては消化試合であり、ホームで苦しめられた初戦での迫力は見当たらなかった。無観客試合でありながら、地元の関係者とその家族がメインスタンドに座る雰囲気も、大一番の緊張感とはひどくかけ離れていた記憶がある。

 南アフリカ行きを懸けた4年後の最終予選は、オーストラリア、バーレーン、カタール、ウズベキスタンと対戦した。これもまた、実質的には日本とオーストラリアが2強を形成していた。世界最速で予選突破を決めた09年6月のウズベキスタン戦に敗れていたとしても、まだ2試合を残していた。

 アルベルト・ザッケローニ監督の下でブラジルを目指した道のりも、日本は圧倒的優位な立場にいた。10年南アフリカ大会を経験した長谷部誠、本田圭佑、長友佑都、岡崎慎司、香川真司らが充実した時間を過ごしており、5試合を終えて4勝1分、勝ち点13を稼いだ時点でブラジルが視界に入っていた。

 予選突破の瞬間は劇的だった。13年6月、今回と同じくオーストラリアをホームに迎えた一戦で日本は0-1とリードを許した。迎えた後半アディショナルタイムにPKを獲得、本田がど真ん中にシュートを突き刺した一撃が埼玉スタジアムに熱狂を呼び込んだ。ただ、この試合にもし負けたとしても、日本にはまだ余裕があった。

 

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