万雷の拍手か、ブーイングか 闘莉王が守り続ける一つの流儀とは

プロキャリアで貫く礼儀 古巣には「自分のストーリーがある」

 田中マルクス闘莉王は2001年にサンフレッチェ広島でJリーグデビューを果たした。今季からJ2の京都サンガF.C.でプレーしているが、広島から水戸ホーリーホックへキャリア初の移籍を経験した03年から、守り続けている一つの流儀がある。

「当たり前のことは当たり前にやらないといけない」

 こう語る闘莉王は5月3日、アウェーの豊田スタジアムで行われた名古屋グランパス戦(1-1)でも、その流儀を貫き通した。試合後、名古屋サポーターの待つゴール裏に歩み寄ると、深々と一礼。すると闘莉王に対して、スタンドから温かい拍手が送られた。

 闘莉王は古巣との対戦時、毎試合相手サポーターの待つゴール裏まで足を運ぶ。プロとしての第一歩を踏みしめた広島、JリーグとAFCチャンピオンズリーグを制覇し、リーグMVPにも選出された浦和レッズとの対戦後には、かつて声援を送ってくれたサポーターへの挨拶を続けている。

「レッズの時には広島の試合で毎回挨拶に行く。グランパスの時にも、レッズと広島戦の時にはスタンドに毎回挨拶に行っている。それは当たり前のこと。理由? そこには自分のストーリーがある。自分がそこで過ごしたこと、そのチームでプレーしたことはずっと消えない。お世話になったことも忘れていない。拍手されるか、ブーイングされるかは、別の話ですけれどね」

 

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