パス成功率88%が示す“リベロ”長谷部の真骨頂 フランクフルトに安定を生む「リスク回避術」

全体の約4割が「ノンアタッキングパス」

 そういった意味では、インターセプトも前へ向かうディフェンスと言えるので、チーム3位タイとはいえ、そこまで高い数値ではなく、逆にフリーボールピックアップ(相手のミスなどから容易にボールを拾った回数)やリカバリーなど、ポジショニングや先読みから生まれるデータはチーム内でも高くなった。これらは、長谷部らしい守備データと言えるのではないだろうか。

 そして最も評価されるべき点は、パス成功率の高さとボールロストの少なさだろう。このデータをさらに細かく見るため、リーグ戦直近5試合のパスについて図のようにまとめた(DATA-2参照)。「パス」のデータは多くの種類に分類されるが、今回まず紹介するのは「アタッキングパス」と「ノンアタッキングパス」だ。前者は縦パス、後者は横パスやバックパスが対象となりやすいが、例えばプレッシャーを受けている状況から攻撃に出るために良いポジションを取っている選手へパスを送った場合などでは、低い位置での横パスも「アタッキングパス」に分類される。

画像2

 長谷部のパスを見るとノンアタッキングパスが全体の約4割。中央の図のように最終ラインの選手への横パスが目立っている。同ポジションの選手であればこの傾向は珍しいものではないが、味方のポジショニング、相手のポジショニングを把握した上でセーフティなパスを素早く判断できているため、イージーなボールロストが少なく安定したプレーにつながっているのだろう。

 アタッキングパスの傾向はセットプレーのキッカーを務めていることもあり、多くのエリアと方向に分布している。よって長谷部のパス交換は最終ラインの選手間が多いが、スタメン出場を果たした全味方選手へパスを送った試合も多い。

 

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