選手権得点王の鳴海に宿った「これ、入っちゃうな」の感覚 神懸った冷静さが6ゴールを導く

決勝で2発を決め青森山田の初優勝に貢献

 全国の大舞台で見せた「これ、入っちゃうな」と言うほどの落ち着きが、青森山田(青森)のFW鳴海彰人を大会得点王の座へと導いた。

 第95回全国高校サッカー選手権は、準決勝が終了した時点で青森山田の鳴海と卒業後のジェフ千葉加入が決まっているMF高橋壱晟が、4ゴールずつで並んでいた。そして9日に迎えた決勝戦、前橋育英(群馬)戦では前半23分に高橋がゴール。通算5得点に伸ばし、得点王レースの単独トップに立った。

 前半からサイドに流れて起点になり、守備でもハードワークをしていた鳴海だが、「どの試合も自分以外の選手が先制点を取ると、『次は自分が』と心に決めていた」と話すように、ゴールへの野心は失わなかった。すると後半12分と同14分に連続ゴールを決めて通算6ゴールとし、一気に得点ランク首位の座を奪ってみせた。

 今大会の青森山田は、黒田剛監督が準決勝の東海大仰星(大阪)戦後に話していたように、「1本中の1本を決める」という集中力を大切にしてきた。シュート数が決して多いチームではないが、ここぞという場面での決定力は群を抜いていた。この決勝でも、決定機の数を見れば前橋育英と差はなかった。しかし、決めるべきところで決めたかどうかの差が、5-0という大差を生んだ。

 鳴海は、その「1本を決める」という重圧を今大会では不思議と感じることなくプレーしていたという。昨年度大会では2得点だったが、そこからゴール数が一気に伸びた。自分でも「なんでなんですかね」と確信を得られていない感覚について、こう表現した。

 

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