日本代表での“支配力”を失う本田と香川 タイ&イラク戦のデータから見えた現実とは

タイ戦で急降下した香川のパフォーマンス

 香川はタイ戦でも、アディショナルタイムを含めて97分間フル出場した。しかし、Instat Indexは208と大きく落としており、これはチーム内で10番目の数字だった。本田、FW浅野拓磨、FW原口元気と構成した前線4人のなかで唯一フル出場ということもあり、パス受けの回数57本はチーム2位だった。だが、キーパス数は9本から1本に大きく落とし、その1本も失敗に終わっている。攻撃のチャレンジ数は17本と1位だったが、成功率はシリア戦の63%から35%へと大きくダウン。最終的にシュート数3本でノーゴールというのは、シリア戦と比較してあまりにも寂しいものだった。シリア戦での日本のポゼッション率は66%、タイ戦でも63%と、ともに相手を圧倒していたにもかかわらず、香川が記録したボールロスト16回は、この試合でもチームワーストという残念なデータだ。

 タイ戦は日本が先制点を奪った時点で、負ける可能性はほぼゼロに近いというくらい実力差のあるゲームだった。そのなかでハリルホジッチ監督は、もしかすると今後のW杯最終予選で徐々に強くなる相手に対して、香川が信頼に足る10番なのかを見極めるために、明らかに低調なパフォーマンスのなかでもフル出場させたのかもしれない。

 次に、本田を見てみよう。イラク戦の本田の出場時間は82分、Instat Indexは252ポイントでチーム6位だ。パス受数は約20本以上減少し45本だった。45本のパスを受けたものの、ボールロスト14本はチームワースト2位。キーパスはシリア戦の4本から3本に減り、かつ成功数も2本だったものが0本になってしまった。攻撃チャレンジ数に至っては21本から12本と40%以上も減少し、成功率も57%から33%まで落ちている。

 香川にせよ本田にせよ、所属クラブで常に試合に絡んでいた時とは異なり、明らかに試合勘が鈍っている状況では代表チームでも十分なパフォーマンスを発揮できないということが、データからはっきりと見て取れた。そのなかでハリルホジッチ監督は、11日に敵地で行われるオーストラリアとの大一番でも本田を先発で使い続けるのか。あるいはイラク戦で出番のなかった香川を起用する決断を下すのだろうか。

図2 

 

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