ハリルJのレジスタ候補柏木 ゴールラッシュの影で自分自身に突きつけた3つの課題とは

岡崎先制点を絶妙なクロスでアシストの活躍

 電光石火の先制アシストで日本代表のゴールラッシュに火をつけた男は、貪欲な向上心を口にした。3日のキリンカップ、ブルガリア代表戦でフル出場したMF柏木陽介(浦和)は中盤の底で長短のパスを駆使。ハリルJの「レジスタ」として立場を築こうとしている。

「最近、自分の向上している部分もわかっているし、自信を持ってやっていくだけだった」

 こう語った柏木は、主将のMF長谷部誠(フランクフルト)とダブルボランチを組んだ。基本的には長谷部がやや後方に構える形だったが、長谷部が前に出て行った時にはバランスをとって後ろに下がる役割分担があったという。長短のパスを駆使して攻撃を組み立てるゲームメーカー役を託された。

 そして、前半4分にFW岡崎慎司(レスター・シティ)の先制ゴールをアシストしたピンポイントクロスは、“走るファンタジスタ”の面目躍如だった。中盤から長い距離を走って右サイドの攻撃をフォローすると、相手DFのチェックを振り切って前方をルックアップ。左足から放たれたボールを、相手のマークを外した岡崎の頭にドンピシャで合わせた。

「自分もいいボールを出せたし、オカちゃん(岡崎)もいい動きをしてくれた。ずっと狙っていたことがゴールにつながったのはポジティブだと思う。最初は(香川)真司か(酒井)宏樹にリターンパスを出そうかと思ったけど、2人の動きが重なったからやめて、後ろから相手が来ていたのが分かっていたから、そこで前を向けば中はいい状態かなと。ラインがバラバラになるのをスカウティングで見ていたので。自分のアシストがつくのは良かったと思う」

 瞬間の判断と事前のスカウティングで仕入れた情報を融合させたプレーによるアシストだった。最初のイメージ通りに周囲の選手が動かなかった時、とっさに“プランB”に切り替えた判断が光った。

 続く2点になったMF香川真司(ドルトムント)のゴールも、“アモーレ”ことDF長友佑都(インテル)のクロスに注目が集まったが、左サイドをフリーで駆け上がった長友にピンポイントのロングパスを通したのは柏木だった。ファンタジスタというよりも、中盤の底からゲームを仕切る演出家を意味する「レジスタ」という役割がピッタリくるアシストの一つ前になる好パスが光った。

 

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