内田篤人が完全復活への不安を明かす膝蓋腱炎 発症の原因と手術の症例が少ない理由とは

膝蓋腱痛の予備軍が確認できる動作とは

 それでは、膝蓋腱の故障を回避する方策はあったのだろうか。新盛院長はこう分析する。

「同じ運動量でも、膝蓋腱に痛みの出る選手と出ない選手がいます。痛みが出やすい選手は、もも前の筋肉を過剰に使いすぎることが原因の1つだと考えられます。大腿4頭筋に過剰な負担をかける選手には2つパターンがあります。1つ目は、もも裏や臀部の筋肉を有効に使うことができていない。2つ目は足首が固く、可動域の狭い。この2つの場合のケースが理由として目立ちます」

 スクワットの動作で、膝蓋腱痛の予備軍が確認できるという。「スクワットで膝が前に出過ぎる選手は注意が必要です」と語った新盛院長は、幼少時からの取り組みが故障のリスク減少につながると説明している。

「私の治療院に、膝の痛みで来院される小中学生には、ストレッチやスクワット動作の指導をしています。成長痛との見分けも必要です。成長期には、運動のやり過ぎは成長の妨げになる場合もあるので、本人、保護者に説明の上、練習量を調整するようにしています。指導者の理解も必要です。成長期を過ぎたら、骨盤の位置を調整したり、筋肉の出力をチェックしながら、もも裏やおしりの筋肉を使いやすくする。いずれにしても、急に痛めるケガではないので、成長期の取り組みが重要になると考えられます」

 内田が手術という困難な選択に踏み切った重傷を防止するためには、幼少時からの取り組みが肝要になると新盛院長は提言していた。

◇新盛淳司

しんもり・じゅんじ/新浦安しんもり整骨院入船院、入船しんもり鍼灸(しんきゅう)整骨院、新浦安しんもり整骨院今川院、今川しんもり整骨院、クローバー鍼灸整骨院代表。柔道整復師、鍼灸師の資格を持ち、関節ニュートラル整体普及協会会員。デフ(ろう者)フットサル女子日本代表トレーナー。サッカー元日本代表MF中村俊輔をセルティック時代から支える。今季JFL昇格を決めたブリオベッカ浦安のチーフトレーナーも務めている。

【了】

サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

 

 
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