「ロンドンより上に行く」 リオ世代の”守備の要”植田直通が胸に抱く野望

 リオデジャネイロ五輪アジア最終予選を突破し、6大会連続での五輪出場を決めたU-23日本代表。闘志あふれるプレーで幾度となく日本のピンチを救った植田直通(鹿島アントラーズ)は、不敵な笑みを浮かべながらこう言った。「世界を目指している」、と。

 その鋭い眼光で、常に先を見据えている男が最終予選を前に語った、胸に秘めたる野望とは――。

 

自分の武器には絶対の自信を持っている

 アメリカの哲学者の言葉に、次のようなものがある。

 水泳は冬の間に上達し、スケートは夏の間に上手になる――。

 夏にみっちり泳いだ成果はその時すぐにではなく、しばらくたってから表れ、スケートも同じように、夏の休んでいる間に上達しているという、科学的根拠に基づいた言葉である。

 植田直通にとって今は、スイマーにとっての夏、スケーターにとっての冬、と言えるかもしれない。

 鹿島アントラーズに加入したのが3年前のことである。1年目はヤマザキナビスコカップ2試合、天皇杯1試合の出場にとどまったものの、翌シーズンは高卒2年目でありながら、センターバック(CB)のレギュラーとして起用され、リーグ戦20試合に出場している。日本代表候補にも選ばれ、追加招集ながら年明けのアジアカップにも参加した。

 ところが、プロ3年目となる昨シーズン、夏に石井正忠監督が就任すると、スタメンから外れるようになった。ベンチ入りすらできないこともあり、苦しい時期を過ごしている。

「自分がプラス思考かマイナス思考かと言ったら、その時の気分でいろいろですけど、少なくも今の状況はプラスに考えるしかないと思っていて、今やれることをやらなきゃいけない、って自分に言い聞かせています」

 むろん、出場機会を失おうとも、自分の武器には絶対の自信を持っている。

 今までに空中戦で負けたと思ったことはあるのか、という問いには「ないっすね」という答えが返ってくるし、CBの一番の魅力を聞けば、「やっぱりつぶすとこじゃないですか」と言い放つ。空中戦での強さ、1対1での強さは、やはり植田の魅力である。

 だが、その武器だけに頼っていくつもりもない。

「足りないものがあるから試合に出られていないわけで、ベンチから見ていると、やっぱり自分と違ったプレーをしている人が出ている。2年目に試合に出られたおかげで、1年目の時とは気付くことや考えることが違う。いろんな選手を見て、いろんなものを吸収したいと思っています」

 

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング