早くもうるさ型の英メディアを抑え込んだファン・ハール 香川真司が生き残るための2つの鍵とは

マンUへの生き残りは香川のプロ選手生命をかけた戦いでもある

 この部分に関しては、香川本人も心に誓うものがあるに違いない。日本を旅立つ寸前に残した「マンUでレギュラーを取るんだという強い意欲で今はいっぱいです」というコメントからも、それはうかがい知ることができる。

 W杯で必勝を課せられたグループ第2戦となったギリシャ戦で先発を外れたことについて「本当に忘れられない経験。人生で一番悔しかった」と振り返り、「そういう気持ちをぶつける。本当に楽しみなシーズンです」とファン・ハール新監督の下での新シーズンを語った。

 一方、来季は4年契約の3年目。クラブが残留を望む選手は、契約期間が残り1年を切る前に延長契約を結ぶのが通例だ。つまり、今季中に契約延長オファーがない場合、香川はプロ選手人生の大きな岐路に立たされる運命にある。

 それは決して愉快な岐路ではない。25歳という、サッカー選手としてはこれから全盛を迎える年齢で、マンチェスター・Uでは通用しなかった選手という烙印を押される。その先に待っているのは格下クラブへの移籍。無論、年俸も下がる。そんなシナリオは香川にとって屈辱以外のなにものでもないだろう。

 こうした状況で、ファン・ハール監督は、これから開幕にかけての1か月間で、現有戦力の見直しを宣言したわけだ。このプレシーズンに賭ける、香川の意欲は、まさに並々ならぬ決意に満ちたものになるだろう。

 まさにこれは、香川真司というフットボーラーにとって、マンチェスター・Uのレギュラー争い以上のもの。プロ選手生命をかけた戦いといっても過言ではない熾烈なものになるに違いない。

【了】

森昌利●文 text by Masatoshi Mori

※ワールドカップ期間中、サッカーマガジンゾーンウェブが記事内で扱うシーンやデータの一部はFIFAワールドカップ?公式動画配信サイト&アプリ『LEGENDS STADIUM』で確認できます。
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