宮本恒靖、ボスニアで築く民族融和への架け橋 広がりを見せる支援の輪

ボスニアと日本で広がる“輪”

 アカデミーの活動資金の支援を募った今回のクラウドファンディングでは、期限を2015年12月15日23時59分までとしていたが、1カ月以上も早く当初の目標を達成した。しかし、決してこれがゴールではない。「少しでも多くの方々にプロジェクトのことを知ってもらい、継続的に協力を呼び掛けていきたい」と目標金額を300万円に再設定し、継続実施を決めた。実際のオープンは来年の夏ごろ。今回のクラウドファンディングで集めた資金はアカデミーの運営費用や告知イベントのために使われ、将来的には自立した運営を目指すという。宮本は支援をしてくれた方々に「活動が順調に進み、良い報告ができるようにしたい」と未来に目を向けている。

 さらに、宮本はFIFAマスターへの留学だけでなく、解説者など多方面で活躍。15年からは指導者としての道も歩み始めた。現在は古巣G大阪のアカデミーでコーチを務めている。日本でプロを目指す子どもたちを指導する一方、モスタルのアカデミーでの目標は「民族融和」、必ずしもプロになることを目標としているわけではない。そうした異なる視点が求められる環境もプラスに捉え「より良い社会やグループを目指し、全く違うアプローチを生かせるよう関係者を回って話も聞いた。自分の経験を活かしていきたい」と意気込みを語っていた。

 ボスニア・ヘルツェゴビナといえば、14年ブラジルW杯に初出場したことでも注目を浴びた。また、イビチャ・オシム元日本代表監督やバヒド・ハリルホジッチ現代表監督の出身国であることも知られている。宮本はすでにオシム元監督と現地で対面したことも明かしていた。そして、アカデミー設立の地であるボスニア南部の街モスタルのクラブでプレーした経験を持つハリルホジッチ監督とは、このプロジェクトについて詳しく話す機会はまだないというが「もちろん機会があれば話してみたい」と意欲を見せた。

 ボスニア・ヘルツェゴビナ人々の間に民族融和の架け橋を。元日本代表キャプテンの“チャレンジ”に対する支援の輪は、ボスニアから遠く離れたこの日本で着実に広がりを見せている。

▼クラウドファンディングURL
https://greenfunding.jp/lab/projects/1338-

▼Facebook
https://www.facebook.com/littlebridgejapan

【了】

サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web

●写真 photo by Little Bridge

 

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