すべてのアクシデントも「想定内」に ハリルジャパン守護神西川の周到極まりないシミュレートとは

カンボジア戦で先発予定慣れない人工芝、暑さ、ボールの重さ… すべてを事前に想定

 現在、5試合連続で日本代表として先発出場を果たしているGK西川周作(浦和)。17日のワールドカップアジア2次予選のカンボジア戦で大幅スタメン変更が予想される中、6戦連続となるスタメン出場が濃厚な状況だ。このアウェー戦では、人工芝という普段と違うピッチ環境や、暑さによる影響が予想される。そうした中で、西川は「想定内」という言葉を繰り返した。

 まず、人工芝という要素についてだ。天然芝に比べ、イレギュラーバウンドが少ない反面、ボールの走りが悪くなるという特性もある。西川はピッチ状態について「注意しすぎるのも慎重になりすぎて良くないと思うんですけど、頭の片隅には何かが起こるということは想定しておかないと、アッと驚いてしまうようになってしまうので、そこはいい準備をして何が起きても想定内と思えるようにしなくてはいけない」と語る。

 この「想定内」という言葉は、西川の一つの口癖でもある。良い状況、悪い状況を含めた様々な状況をイメージした上で試合に臨み、シミュレートする。それが、試合中の冷静さにつながる。今回のゲームに臨むにあたっても、味方のDFや周囲の環境、レフェリングについてもイメージを膨らませている。

「DFがミスするかもしれないし、頭をクリアにしてやっていきたいと思います。審判の笛もどっちに転ぶかわからないですし、たくさんのお客さんが入った中で、声が通らないかもしれない。つなぐことも大事ですけど、時には(DFラインの)背後に(ロングボールを)蹴ってみたりとか、ボールを持った時にリズムを変えていきたいなと思います」

 フィールドプレイヤー以上の足技を持つ西川はビルドアップに参加し、最終ラインの選手たちとショートパスをつなぐプレーも大きな持ち味だ。しかし、それは相手からのスカウティングの対象にもなる。西川がボールを持った瞬間に、前線からプレスを掛けてくることも想定される。その時は、逆に相手の背後を突く正確なロングキックを送り込むことも考えている。それもまた、駆け引きの一つだ。

 もちろん、カンボジアを格下と油断しているわけではない。「アフガニスタンとカンボジアの試合を見た時は結構遠目からでも打ってくるのが印象的だったので、遠目からのシュートはブレた時が本当に厄介ですし、そこは打たせないようにリスクマネジメントは声をかけていきたい」ピンチを未然に防ぐコーチングも意識にある。

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