【ベスト4決定】 センターバックの安定感がもたらしたブラジルの“縦への推進力”

ネイマールがブラジルのリーサルウエポン

 前線で攻撃の起点を作るのが、ネイマールが行う最初の仕事だ。ボールを持った彼を止めることは困難だし、素晴らしい才能の持ち主であることには、誰が見ても疑いようのないこと。チームメイトを納得させるだけの突破力と得点力を誇る。

 しかし、ドリブルを武器とする選手はチームにとって諸刃の剣になることもある。持たなければ勝負できないが、持ちすぎるとチームのリズムを崩す要因にもなる。攻撃をサポートしようと他の選手が上がってきても、パスが出てこなければそこで動きは停滞し、次に攻めあがるべき時に出足を鈍らせることがある。出てくるべき一歩が出てこなければ相手に反撃を許し、積極性は無謀になり、全てが裏目になりかねない。

 だが、この日のネイマールは試合を通して運動量も多く、素早い動き出しでスペースに走り込んでパスを引き出していた。激しいマークに来ることを裏手に取るダイレクトパスで相手をいなしたり、サポートに来る味方にパスを渡してから縦に抜け出したりと、得意のドリブルを基調としながらも、球離れの早いプレーでチームの縦への推進力を損なうことなく、自分のプレーを出していた。

 先制ゴールも、ネイマールがドリブルで持ち込んで得たCKからであったし、ペナルティエリア付近から素晴らしいダイレクトパスでチャンスを作るなど、ブラジルの攻撃陣を牽引していた。時折、持ちすぎでボールを奪われるシーンも見られたが、すぐに立ち上がって守備に戻り、チームを助ける意識を常に見せていた(それだけに準決勝以降、ネイマールが出場出来ないのは残念という他ない。彼の代わりとなる人材はいないので、違う形で戦うしかないだろう)。

 ネイマールが前線で相手を引き付けて攻撃のポイントとなったことで、他の選手の押し上げ効果もアップした。こうして、高い「前へ!」の意識がブラジルの躍動感を最大限に高めたが、ここまで積極的なサッカーを見せることができたのは難攻不落の二人のCBの存在があるからだ。

 

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