ハリルJの本田は世界標準のエースなのか? 「3.3%」の数字が示す危険な兆候

本田も指摘する中期的な戦略の欠如

 しかし、この試合では本田に限らず、1トップで先発した武藤と、トップ下の香川真司、本田と宇佐美貴史、交代して入った清武、岡崎慎司、原口元気、南野拓実というアタッカーが受けたパス数は、全体のわずか22%しかないというのは、さらに大きな問題だ。相手が強くなると、前線の選手がパスを受けられずに、後方でだけパスが回る。ハリルジャパン発足以前から長きにわたる日本代表の課題であり、なかなか改善の兆しが見られない。

 本田はこの試合が終わった後に、興味深いことを言っていた。

「考え方として日本が急激にサッカーのレベルをここ20年で上げてきて、上げて来れば来るほど経済と一緒で伸びにくくなる。ごくごく当たり前に起こりうること。伸び率は下がりつつも、少しずつでもいいから中期計画、中長期計画は日本のサッカー全体に確かに求められている」

 本田の指す中期計画とは、昨年のワールドカップ終了後から次のロシア大会までの期間だろう。ハビエル・アギーレ前監督が八百長への関与の疑いから退任となり、バヒド・ハリルホジッチ監督が選任される過程の中で、日本らしさ、いわゆる「Japan Way」を推進してくれる監督なのかどうかが、選考する上での重点項目だったはずだ。

 アギーレ前監督とともにハリルホジッチ監督が強調する「インテンシティ」という、あらゆる面での強度の高さは、確かに世界で勝ち抜くために必要なことだ。しっかりとオーガナイズされた守備を突破することが日々困難になっていく中で、その前に攻め切る速攻は確かに重要な要素だろう。

 しかし、これはサッカー先進国全体のトレンドだが、日本サッカーの持つ本来の強みとは別の話である。「デュエル」「インテンシティ」という要素を、日本らしさにどう結び付け、いかに差別化を図り、対戦相手との優位性を持つのかが「中期的な戦略」であり、実行するための計画が求められている。

 

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