今後4年間の指針が見え始めたスペイン-オランダ戦 オランダの強さの裏に隠されていた5つの「I」

 スペイン-オランダ戦。過去10回の大会でディフェンディングチャンピオンが初戦勝利したことは3回しかない。そういう意味ではスペイン代表にとって難しい試合だっただろうが、前回大会6連勝を飾り最後の4戦全て1-0で優勝にこぎつけたチームにとって1-5の大敗という結果がショックでないはずがない。

 スペイン代表に何が起きたのだろうか。いやオランダが何をしたのだろうか。この1-5が持つ意味はこれからの4年間のサッカーの潮流を変えるかもしれない。そういう視点で分析をしてみたい。

 前半を終えて1-1。スペイン代表はいつものように高いポゼッション率でオランダを圧倒した。相手がボールとそれに関わる人に目を奪われた瞬間に、相手ディフェンダーの裏や最終ラインの守備の間に走り込む選手にピンポイントでラストパスを合わせてチャンスを演出する形も、奪われた後に素早く取り返し二次攻撃、三次攻撃を仕掛けるスタイルも、強いスペインのままだった。実際前半のポゼッション率は69%とほぼ7:3でゲームを支配していた。

 シュート数もオランダの3本に対して6本。Duelsというフィフティ・フィフティのボールに対してどちらがボールを奪ったかというデータに関してもスペインの24勝18敗(勝率57.1%)だった。

 パスの成功率に至っては88%で、ファウル数もスペイン2回に対してオランダ11回とオランダはファウルで止めるしか術がなかった。

 その結果、27分、オランダはPKで失点してしまう。オランダは開始早々の8分にロッベンのスペインディフェンダー裏へのパスにスナイデルが抜け出してシュートするという決定的なチャンスを作ったが、それ以外は前半終了間際、ダレイ・ブリントの左からのロングクロスにファンペルシーが飛び込んで1点を奪うのが精一杯だった。

 日本時間早朝4時キックオフの眠い目も一気に覚めるようなスペインの鮮やかな“ポゼッションサッカー”を目にして、今回も優勝候補の一角に名を連ねるのを疑う人は少なかったと思う。

 ところが後半は丸で別のゲームが行われたかのようだ。その兆しはオランダが前半に作ったたった2回のチャンスだった。

 

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